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食べることを拒否する、拒食症とは?

食べることができない、拒食症とは?

拒食症とはストレスやダイエットがきっかけで、「食べられなくなる」病気です。

正しくは「神経性食欲不振症」という病気で、無理な食事制限や絶食をくり返した結果、自分の意思とは関係なくカラダが食べ物を受けつけなくなるのが「拒食症」です。
こちらでは、「拒食症」についての症状、特徴のある行動、診断基準などをご紹介します。

拒食症とは?

拒食症とは、摂食行動の障害となって現れる精神疾患です。特に心理的要因(ストレス)からくるものがとても多く、近年日本においても増加傾向にある病気です。

主に10代~20代の女性、150人に1人が拒食症に悩まされているというデータがあります。原因としては、ダイエットからくるものがほとんどだとされています。

痩せている方が美しいといわれる文化、常に街中で見かける看板や女性誌には、ダイエットという言葉が欠かさず目につきます。それを求めすぎた結果、自分が痩せすぎていることに気が付かずうつ病になったり、免疫力が一気に下がることによる感染症を引き起こすケースが後を絶ちません。

拒食症の判断基準としては、体重÷(身長×身長)で求められるBMI指数で肥満度・重症度を判断します。BMIが17kg/㎡を下回ると軽度、15kg/㎡を下回ると最重度の拒食症で、最悪の場合になると入院の可能性も出てきます。体重の急激な減少が一つのサインとなりますので、身近にいる方が気付き、判断基準に基づいて指定の医療機関に連れていくことをおすすめします。

拒食症の行動

  • 過剰な食事制限、偏食

    例えば1日の摂取カロリーは800カロリーまで!など食事の量を極端に減らしたり、特定の野菜だけ、コンニャクゼリーだけ、といったような偏った食べ方を続けるなど、極端な食事制限(ダイエット)を続けます。強迫観念のように、お米一粒のカロリーまで気になり、カロリー計算をしないと食べ物を口に入れることができなくなるケースも多くみられます。そのような状態がどんどんエスカレートしていくと、やがては食べたくても食べられないといった状態におちいります。

  • 過食

    ほとんどの拒食症は過食症の前段階だとも指摘されています。極端な食事制限やダイエットを続けると、当然ながら強い栄養失調を引き起こす為、ある一定の時期になると反動で過食症に転じます。いったん過食症に転じると、過食症状をコントロールできないため、太ることを恐れて嘔吐を始めるケースが多いようです。一部では拒食症が継続するタイプもいますが、極端な低体重のため深刻な健康被害に陥るケースも少なくありません。家族や周囲の注意が必要です。

  • 急に活動的になる

    拒食症タイプでは、自分がやせていくことに強い喜びを感じ、明らかな体調不良があっても妙に元気だったり、スポーツジムに通うなどアクティブに活動的になる傾向が強くなります。

  • 万引きなどの窃盗行為、感情表現の低下

    強いストレスや太ることへの恐怖心から逃れたい一心で、万引きやその場限りの異性交遊といった反社会的な行動をおこすことがあります。また強い栄養失調により脳の機能低下を引き起こし、感情を表現することができなくなり、表情も能面のようになります。特定の物事に、異常に固執する傾向もあります。

拒食症の症状

  • 低体重

    摂食障害が原因の低体重は「ちょっと痩せている」というレベルではなく、周囲の人が見ても明らかにやせ細っているのが大きな特徴です。低体重だと判断される基準は、標準体重の18.5%以下となっています。

    摂食障害での低体重が引き起こる症状としては、「疲れやすい」「月経がこない」「筋力低下」などです。体内に栄養素がなくなり筋力がなくなってしまうと、必然的に免疫力も低下。その結果、便秘や鬱といった合併症を招いてしまう危険もあるので注意しておく必要があります。

  • 低体温

    摂食障害で見られる良く見られる低体温は35度を下回るのが特徴です。体温が下がってしまう原因の1つとして、栄養不足からくる「甲状腺ホルモンの減少」が挙げられます。甲状腺ホルモンは体にある全細胞に働きかけて体温を調節してくれる役割を担っている大事な成分。そのため、栄養不足で甲状腺ホルモンが補充されないと必然的に体温が下がってしまうのです。

    体温が下がるとめまいや貧血を引き起こすケースもあるので、「最近クラクラすることが多くなった」「爪先がずっと冷えている」と感じた時点で専門知識のある医師に相談するようにするといいでしょう。

  • 味覚異常

    摂食障害で拒食症や過食症になると嘔吐を繰り返すため、体の中にある栄養素やミネラルが不足します。亜鉛が不足すると味を感じる味蕾(みらい)という細胞が新しくできなくなるため、味覚異常になるケースがあるのです。味覚異常が起きるとご飯を食べない拒食に拍車がかかり、より低体重になるおそれがあるので注意が必要です

  • むくみ

    摂食障害でよく見られる特徴的な症状がむくみです。通常のむくみは体の組織に水が溜まった状態のことを指しますが、摂食障害で良く見られるむくみはたんぱく質の減少によるものがほとんど。拒食症で体重が著しく減少すると、肝臓の機能が低下しむくみの原因となります。

    普段の生活でなるむくみは水分を排出する利尿剤を使用すれば改善できますが、摂食障害では摂食障害の場合だと体の麻痺や自立神経失調などを招いてしまう「低カリウム血症」に繋がる恐れもあります。

  • 思考力の低下

    必要な栄養素を摂れないと脳の栄養も不足してしまい、思考力の低下に繋がって正常な判断がしにくくなります。なかには頭の回転が疎くなってしまい、ぼんやりしたり考えた方が偏りがちになったり、人の意見に耳を傾けなくなる人もいるようです。

  • 生理不順、無月経

    摂食障害は栄養失調が続くため、ホルモンバランスが乱れてしまいます。そのため女性だと生理不順や無月経、男性なら肥満や糖尿病になることが多くみられます。また女性の場合、無月経が続くと子宮や卵巣が委縮し、月経再開が難しくなる可能性もあるので、さらに治療を受けなくてはなりません。また将来の不妊症の原因に繋がる恐れもあるので、しっかりとした治療を受けたうえでの摂食障害を克服していくようにすると良いでしょう。

拒食症の判断基準

拒食症は食べたくても食べられなくなる病気ですから、極度の栄養失調におちいってしまい、病的なくらいにやせ細ってしまうのが最大の特徴です。

  1. 年齢と身長に対する正常体重の最低限を維持することを拒否する。
    (例:期待される体重より15%以上少ない体重を維持するような体重減少、または成長期間中に予想される体重増加がなく、期待されるより15%以上少ない体重)
  2. 体重が不足している場合でも、体重が増加すること、または肥満することに対して感じる強い恐怖を感じる。
  3. 自分の体重や体形を感じる感じ方の障害、または体型や体重の自己評価による過度の影響、または現在の体重を否認する。
  4. 女性の場合、あるはずの月経周期が少なくとも連続3回欠如すること。
    (エストロゲンなどのホルモン投与後のみ月経が起きている場合は、無月経とみなされる)

アメリカ精神医学会のDSM-IVにより

「どんなにやせても、自分は太っていると感じる」「太ることや食べることに激しい罪の意識を感じる」「妙にアクティブになる」など...といった症状が、拒食症の判断基準となります。

「良い子」ほど拒食症になりやすい?

拒食症になりやすい人と言うと、モデルやタレントなど、職業的に痩せなければいけない女性が昔からよく挙げられますよね。最近では、性格的な特徴として「自己評価の低い人」が拒食症なりやすいとよく言われます。

中でも、周りからの評価に依存しやすい女性は注意が必要です。「あの人に自分はどう思われているんだろう」「みんなに嫌われたくない」こんな風に他人の目を気にしてしまうことは誰にでもありますよね。しかし、元々自己評価の低い人は、常にこういった意識があるため、人からよく見られようとすることに人一倍こだわってしまいます。

その1つの基準に容姿、痩せているという評価へのこだわりが強くなってしまい、拒食症にハマってしまう…そんなパターンが多いようです。実際、素行や成績もよく友達も多い真面目な女子生徒が、ダイエットがきっかけで拒食症になってしまったという話はよく耳にします。

周りの評価を気にする分、他人からは「良い子」と思われがちですが、本当は普段から心に大きな負荷をかけているのかもしれません。

拒食症と性格の関連性における研究論文について

拒食症は良い子ほどなりやすいと言われています。その説は正しいのか検証した研究論文があるので、こちらを紹介します。

検証は女子大学生280名を対象に、アンケート形式で行われました。質問内容は以下の28項目。各項目ごとに「当てはまる」「当てはまらない」「どちらともいえない」で応える形式です。

  1. 体重が増えるのが怖いと思いますか
  2. 体重が増えすぎるのではないかと心配をしますか
  3. 少しでも体重が増えると、ずっと増えつづけるのではないかと心配になりますか
  4. あなたは体重にとらわれ過ぎていると思いますか
  5. 食べ過ぎた後、後悔しますか
  6. 普通にご飯を食べた後でも、太った気になりますか
  7. いつも胃の中を空っぽにしておきたいと思いますか
  8. 食べたカロリーを使いはたそうと一生懸命に運動していますか
  9. 非常に多くの量を無茶食いしたことがありますか
  10. 食べ出したら止められず、お腹が痛くなるほど無茶食いしたことがありますか
  11. 食べる量をコントロールできないのではないかと心配になりますか
  12. 無茶食いするために、はめを外してしまいますか
  13. …もしそうなら、そのときみじめな気持ちになりましたか
  14. いやなときや、つらいとき、たくさん食べてしまいますか
  15. 毎日の生活が、食べ物のことについやされてしまっていますか
  16. 自分の食生活を恥ずかしいと思いますか
  17. 食べ物の事で頭がいっぱいですか
  18. 食事に関する問題で、仕事や学校に差し支えがでていますか
  19. みんなからやせているといわれますか
  20. みんなから非常にやせていると思われていますか
  21. あなたがもっと食べるよう、家族が望んでいるように思いますか
  22. みんなが少しでも多くあなたに食べさせようとしていますか
  23. 食後、嘔吐したい衝動にかられますか
  24. 食後、嘔吐しますか(吐き出しますか)
  25. まる 1 日、まったく食事を取らないことがありますか
  26. 自分は役に立つ人間でみんなに必要だと思われていると思いますか
  27. この頃、異性に対して関心がなくなりましたか
  28. 下剤を使っていますか

※同様のチェックテストをこちらのページ(摂食障害のセルフチェック)で受けられます。

結果、280名の内、アンケートへ的確に応えられていなかった人、すでに摂食障害の症状を抱えている人を除いた177名のデータが集まりました。

各項目ごとに点数を指定し、177名のアンケート結果を集計したところ、健常者が131名、摂食障害の傾向が見られる人が46名という結果に。およそ25%、一般大学生の内4人に1人は摂食障害の傾向が見られるというデータが算出されました。

さらに、全員に「MMPI(ミネソタ多面人格目録)」といわれる世界で最も多く使われているパーソナリティ検査を受けてもらいました。

すると、14項目中、11項目で明らかな差が現れました。違いがなかったのは、「どちらともいえない」と答えた数、ヒステリー性、性度(いわゆる女性らしさ男性らしさ)の3つ。それ以外の項目はすべて差が開いており、特に健常者と比べて摂食障害傾向のある人が高かったのが、顕在性不安、頭頂葉・前頭葉損傷、依存性、大学不適応の項目です。また、自我強度、支配性、社会的責任の項目は、健常者と比べて低くなっていました。

これらの結果から推測されるのが、摂食障害傾向にある人は自分に自信を持っておらず、何かしらの不安を常に抱えているという点です。その結果、他人の顔色や視線を気にして良い子に収まろうとしてしまう。という傾向が見られると言えます。

参考:摂食障害傾向を持つ女子大学生の性格特性について[PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/13/2/13_2_242/_pdf/-char/ja


参考:摂食障害傾向と性格の関連性[PDF]
http://web.sugiyama-u.ac.jp/~naho/student%20study/seminarsA2015.pdf

拒食症の傾向

神経性やせ症(拒食症)では、傾向として社会的な孤立や抑うつ、不安や脅迫症状、完ぺき主義や頑固さなどが認められるそうです。意思の強さが病状を進行させてしまい、体重が減少しても肥満への恐怖が勝り、そうならないように執着を強めてしまうことから神経性やせ症(拒食症)が確かになっていきます。


なかには、食べ物を多少摂取しても、自己誘発性嘔吐や下剤を用いた対外への排出で、痩せた状態を維持する行為が続いてしまう場合もあります。治すには、体重増加を受け入れられるようになることがポイントになってきます。


神経性やせ症(拒食症)は致死率が高く、その原因は心臓の異常によるものが多いとされています。神経性やせ症(拒食症)は自律神経活動の異常が、心臓の働きを正常な状態から異常な状態にする可能性が高いとされており、神経性やせ症(拒食症)の罹患期間の長さも影響していると言われています。そのため、できるだけ早く自分の症状を良く知り、適切な治療を受けることをオススメします。


参考:みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_eat.html


参考:神経性やせ症における罹患期間と心臓自立神経活動の関係(Biopsychosoc Medicine,Nakai Y,Fujita M,Nin K,2015.9.12)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/56/2/56_174/_pdf/-char/ja

友達や家族が拒食症かも…どんな言葉をかけるべき?

心配が裏目に出てしまうこともある

大事な人が極端にやせ細ってしまったら、誰でも心配になりますよね。しかし、心配な気持ちは積もるものの、どんな言葉をかければよいか迷ってしまいます。 心配するあまり「痩せすぎだよ!」「ごはんちゃんと食べなきゃだめだよ!」と注意をしたら、逆効果だったなんてこともあるので軽率な発言は控えたいところ。では、周りの人はどうしたら良いのでしょうか。

拒食症は過食症よりも治療が難しい

拒食症は過食症に比べて、治療が難しいと言われています。これは、そもそも本人が「このままでいたい、もっと痩せたい」と治療を拒絶してしまうことが多いから。周りからはどう見ても危ない状態なのに、本人たちにはその自覚が無いことが多いです。そのため、心配する声も本人にはなかなか届きません。仮に本人が治したいという意識があった場合でも、心配する言葉がプレッシャーになって余計に悪化してしまうという恐れもあります。

食べろはNG!体重よりも体調を気にかけてあげる

そうは言っても放っておくことはできませんよね。そこでまずは、食べることや治療を促すのではなく、「体調が悪そうだから病院に行こう」と、オブラートに包んで声をかけてみてはどうでしょうか。どんなに大事に思っている人の言葉でも、冷静さを失ってしまえば素直に聞くことはできません。だからこそ、専門医の元へ連れていき、摂食障害患者をたくさん見てきた医師から言葉をかけてもらうのが賢明でしょう。

必ず摂食障害に強い病院へ!

ただ注意して頂きたいのは、医師にも得意不得意分野があるということ。特に摂食障害に悩む女性の多くは多感な時期になるため、医師との相性に左右されがちです。また、拒食症の治療経験が少ない医師に「たべれば治る!」なんて一蹴りされてしまったら大変です。病院を選ぶときは、必ずそのクリニックが摂食障害を得意としているかを確認しましょう。名医から探すのも良いです。

当サイトでは、摂食障害に強い医師がいる・摂食障害を専門にしているクリニックを5院厳選して紹介しています。(>摂食障害に強いクリニック5院を見る)

従来のカウンセリングや薬物療法を扱うクリニックから、近年、体に優しい治療として注目されている「栄養療法」を扱うクリニックも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

拒食症を克服した女性にインタビューをしてきました

インタビュー画像

今回取材させていただいたのは、摂食障害でも命に関わる危険がより大きい拒食症を経験したナナさん。 克服前、身長163cm 体重30kgと摂食障害患者の中でもかなり重症。

入院療法を経て回復する過程をブログに書いたところ、同じ摂食障害の悩みを持つ女性から多くの反響が。 克服へ向かう彼女のブログは前向きで、力強くて、丁寧で優しい。コメント欄にはたくさんの「ナナさんに励まされた」「自分も頑張ろうと思えた」という声で溢れていました。

そんな、人の心を動かす才能に恵まれた彼女が、なぜ、命に関わるほどの拒食症になったのか。そしてなぜ、それでも、こんなにも前向きに生きているのか。今回は人気ブロガー、ナナさんを取材してきました。

ーブログ、拝見させて頂きました。文章とても上手ですよね。結構アクセス数も多いのでは?

ナナさん「まったく知識がないので、普通がどのくらいか分からないんですけど…。頻繁に更新していた時期は数千アクセスくらいかな?でも、コメントとかたくさん頂けて、自己満足で始めたので本当に予想外でした。最近はなかなか更新できていないんですけど」

ー多くの方がナナさんの言葉に励まされていたと思います。とても前向きで私も心が動かされました。

ナナさん「恐縮です。むしろ、私の方が読んでくださっている方のコメントやメッセージに支えられました。すごく温かいコメントが多くて…。一人じゃない、って思えました」

ー拒食症を治療しようと決意したきっかけは?

ナナさん「病院は、今の夫にも前々から行くように言われていたんですけど。やっぱり太るのが嫌で、拒絶していました。でも入院直前は、体重が30kgまで落ちてしまっていて。3分も立っていられないし、体力がなさすぎて眠ることさえできないんですよ。めまいもすごくて…本当に生命の危機を感じて怖くなって。『あ、病院に行かなきゃ、治療しなきゃ!』って思って、ネットでいい病院はないか調べまくりました」

ー30kg…すごいですね。ナナさんは、なぜ拒食するようになったんですか?

ナナさん「私、人と比べちゃうんです。自分は地味なのに、あの子は痩せていて綺麗だなとか。モデルさんに憧れたり。あと、やっぱり綺麗じゃないと認められないって思っていたので。そういう思いから、体重を過剰に落とすようになりました」

ーでは治療を決意した後も、やっぱり太るのが怖かったのでは?

ナナさん「はい。それに、最初は食べるのも苦しかったです。苦しいのに、お腹が空いていないのに、どうして食べなきゃいけないの?って涙が出ました。それでもなんとか乗り切って。でも、ある時から脳が変わって、そこからはどんどん食べれるようになりました」

ーある時とは?

ナナさん「不快にさせてしまう方もいるかもしれないんですけど…。入院中、食堂で他の患者さんとも一緒に食事することがあったんです。そこで、ミネストローネとか油の入ったスープあるじゃないですか。あれを、スープは全部こぼして、その後野菜とかを水洗いして、油を全部落としてから食べている子がいて。その時に、結構ショックを受けたのと、あとはやっぱり同じように拒食症の方を見た時に、細くて綺麗とは思えなくて。そしたら脳が、拒食脳から脳が抜け出せて、正常に戻って。ご飯も美味しく食べられるようになりました」

インタビュー画像

コーヒーを持つ指には、ブライダルリングが輝いていました。対面してから10分、ナナさん「笑顔が素敵な、健康的でエネルギッシュな女性」というイメージしか湧きません。

そこで、摂食障害に大きく影響する、生い立ちや、ご家族、またお仕事のことを聞いてみることにしました。

ー失礼かもしれませんが、摂食障害を経験した女性に見えなくて…。少し、プライベートなお話を聞いても大丈夫でしょうか。

ナナさん「私に答えられることでしたら、どうぞ(笑顔)」

ー家族構成を聞かせて頂けますか。

ナナさん「もとは、父と母、2つ下の弟がいます。今は夫がいて、夫と暮らしています」

ーそうなんですね。ご家族は仲がいいですか。

ナナさん「はい、母親とはよく買い物に行ったりしていました」

ーでは今でも、連絡をよくとられるんですね。

ナナさん「仲はいいのですが。(少し話すか躊躇い)今は母親とは少し距離を置いていて。母は自律神経とか精神的に少し弱いところがあるんです。私、東京に出てから販売系の接客業をやっていたんですけど、業務中にも母から電話がかかってくることが多くて、それがストレスで少し距離をおきました」

ーお父さんとはご連絡はとらないのですか

ナナさん「今はもう平気なんですけど、昔は苦手で。あ、父と言っても、実際の父親ではなく、母の再婚相手なんです。気性が荒い人で、パンチパーマとかかけちゃう系で(笑) よく怒鳴り散らされました。中学の時とか『おまえみたいにワガママな奴は見たことない』とか言われたり、ひどい時は家に入れてもらえなかったり。だから会うと少し動悸がしてしまって」

ー母親は守ってくれなかったんですか?

ナナさん「(笑)母親も私にキツかったので。『できが悪い、何もできない』ってよく怒られたし、ひどい時は馬乗りになって殴られたりもしました。弟には優しいんですけどね。やっぱり男の子だからな」

ー…壮絶な幼少期ですね。

ナナさん「そうですかね。でも、確かに 昔はなんで自分だけって卑屈になった時もあったんですけど、そういったことも全部乗り越えて、今幸せになりはじめたので(本当に、幸せそうに軽やかに笑うナナさん)」

ー今のご主人とは、どちらで出会ったんですか

ナナさん「私、高校卒業してから結構はっちゃけてて(笑)都内のクラブとかによく遊びに来ていたんですけど。その頃、池袋で接客業をしていたことがあったんです。その時のお客さんで」

ーなかなか思い切りましたね

ナナさん「はい。やっぱり関係上、遊ばれて捨てるんじゃないかって不安がありました(笑)でも、私が会った時から『この人だ』って感じてしまっていて」

ー運命の出会いだったんですね

ナナさん「私、20歳になるまで彼氏できたことがなかったんです。どちらかというと引っ込み思案で、心から友達って言える人もいなかったですし。しかも彼と出会った時ってちょうど自分が拒食症、って自覚してきた頃で。だから自分に自信もなくて、申し訳ない気持ちも大きかったんですけど、本当に私のことを大事にしてくれて」

ーブログでもご主人の支えが大きいように感じました

ナナさん「入院費用も親はやっぱり助けてくれなかったのですが、全て彼が負担してくれました。お見舞いにも頻繁に来てくれて。彼にも彼の会社にも感謝しきれません」

他にも、ここでは書ききれないほど、そして普通なら人に話しにくいことまで、自分の大事な一部として軽やかに話してくれました。

ナナさんの美しさは「こういう過去も全部含めて、今の幸せな私なんです」という自信なのかもしれません。

最後に、そんなナナさんの今後について聞いてみました。

ー今1番やりたいことはなんですか?

ナナさん「主人と出会った時、ちょうどひどい拒食だったので、ご飯がほとんどたべれなかったんです。だから今、一緒に出かけて美味しいものを『美味しいね』って言いながら食べることがすごく幸せで。これからもっといろんな物を一緒に食べたいです」

ー素敵ですね。他には何かやりたいこととかってありますか?願望とか

ナナさん「母親になりたい。やっぱり主人との子供が欲しいです」

笑顔で、そう答えたナナさん。その笑顔は「素敵なお母さんになりそう」と誰もが必ず思うものでした。

一緒にいると自然と元気になれる、ひまわりのような華やかさを持った女性でした。ナナさん、インタビューのご協力ありがとうございました。

摂食障害なんてやらなければよかったではなく、摂食障害を経験し克服できてよかった

ナナさんは決して「拒食なんてやらなければよかった」とは口にしませんでした。「いろいろあったからこそ、今、幸せを感じている。たくさんの人に助けてもらって、本当に感謝の気持ちでいっぱい」そう、素敵な思い出を語るように、大事に話してくれました。

摂食障害を患う女性の多くは、圧倒的に自己肯定感が少ない気がします。

「自信がない」「私に価値はない」「自分なんて」「何も持っていない」今までお話を伺ってきた多くの患者が口を揃えて言っていました。今は自信に満ちたナナさんでさえも、時々「私は何もできないから」と口にします。

でも、本当にそうなのでしょうか。

本当の本当は、みんな、誰もがすごく素敵な、自分にしかないものを持っているのを持っていて、ただそれが、環境や人に恵まれず『価値のない人間』と信じ込まされたことで、見えなくなっているだけなのではないでしょうか。

「じゃあ、痩せている以外に私のどこが魅力なの?分からないでしょ?だって本当に無いんだもん」

昔、過食嘔吐を繰り返す女性に「あなたは素敵。あなたにしか無いものがあるはず、自信を持って」と言い、こう言い返されたことを思い出しました。

あの時、返答の言葉に詰まってしまったこと、安易な言葉をかけてしまった自分をとても悔やみました。

でも、今回ナナさんの姿を見て、もう少しだけ分かったことがあります。

多分、何もなく見えるのは、あったはずのものが枯れて、見えにくくなってしまっているから。他人にも発見してもらいにくい、自分では全く見れない場所へ隠れてしまっているだけ。

否定され続ければ誰だって自信を失って、長所だったものさえ短所と思って無意識にしまいこんでしまいます。

時が経てば、もっと見つけにくい場所に潜って、簡単には出てこれない場所へ封じられてしまっている。でも、本当はまだきっとどこかに眠っているはずで。

もしかしたら拒食症は、そんな自分からのアラートなのかなと思いました。

ナナさんのブログで素敵な言葉を見つけました。

『みなさん今日もたくさん笑って、自分を愛して、「毎日私頑張ってるよ!自分がいちばんわかってるよ!ギューって抱きしめてあげる〜!!」って、自分を愛して愛して愛しちゃいましょう』

多分、薬よりも何よりも、これが1番大事なことなのかなと思います。拒食症が悪いとか、過去の自分が悪いとか、自分を否定した人が悪いとか、そういうことではなくて。それぞれの道を生きて来た今、ダメでも価値がないと思えても、それでも今の自分を認めてあげて、少しでもいいから好きになってあげて。「自分なんか」とか「〜でなくてはいけない」を捨てて。

そしたら、自分が本来持っていた魅力が出やすくなって、周りの誰かが、自分の魅力に気づいてもらえるかもしれません。もしかしたら自分自身でも、痩せていること以外の自分の魅力に気付けるかも。

と、筆者は拒食症を患う女性の見方、そして今後かけたいと思う言葉が変わりました。

とても感じることの多い取材でした。快く取材に応じてくださったナナさん、本当にありがとうございました。

ナナさんのブログURL:https://ameblo.jp/nmode28/



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