摂食障害の治療方法

摂食障害の治療方法

心とカラダ、両面からアプローチする
摂食障害の治療

摂食障害(過食症過食嘔吐拒食症)は心の病気と言われますが、極端なダイエットや偏った食生活、嘔吐や下剤の乱用などでカラダに様々な悪影響を起こしているため身体の治療も非常に大切です。
一般的には、心療内科などで投薬治療や心理カウンセリング療法が行われており、症状が重い人には入院による治療も受けられます。こちらでは、さまざまな摂食障害の治療方法をまとめてご紹介します。

カウンセリングで治す

摂食障害のカウンセリング療法の流れ

摂食障害の治療として、(心理)カウンセリングは一般的です。
摂食障害は「心の病気」と言われますが、強いやせ願望やストレスがひき金となって発症することが多く、人によって様々な要因が複雑にからまっていることが少なくありません。
ストレスに対する考え方や、自分を客観的に冷静に見ることができない状態になっていること、摂食障害を引き起こしやすい生活スタイルになっていることなど、まずは自分が置かれた状況をきちんと理解して、摂食障害を引き起こしている心理的な理由は何なのか、心の深い部分を掘り下げていくのが心理カウンセリングの役割です。
カウンセリングは心療内科や精神科などで受けられますし、10代の場合は思春期外来や児童精神科、小児科でも受けつけています。病院に行くのは抵抗があるという場合は、メンタルクリニックや民間のカウンセリング施設に相談する方法もあります。

分子整合栄養医学で治す

摂食障害の栄養療法の流れ

分子整合栄養医学とは、薬を使わないで、必要な栄養素をサプリメントで補給して、薬同様の薬理作用を期待する治療法で、「オーソモレキュラー療法」とも呼ばれます。栄養素を使って体内の細胞を本来の正常な状態に整える治療法であり、栄養療法とも、メガビタミン療法とも呼ばれています。

たん白質の立体構造を発表したアメリカのライナス・ボーリング博士は、1954年にノーベル化学賞を受賞し、分子整合栄養医学を提唱しました。そして、強い栄養失調や機能性低血糖症を呈する摂食障害にも大きな効果を発揮しています。

1958年には遺伝子が解明され、新しい学問分子(遺伝子)生物学が誕生しました。現在の米国では、この分子生物学が発展し、栄養学は遺伝子レベルまで解明が進んでいます。
人は極端なダイエットや食事制限、炭水化物の多い過食、過食嘔吐を繰り返すと、強い飢餓状態に陥ります。その結果、体内の全ての細胞で栄養が不足し、十分に機能できなくなります。栄養不足により自律神経は失調し、たくさん食べても満腹感を感じることができなくなることも。これが栄養不足によって起こる摂食障害です。
詳しい血液検査をおこなって、不足している栄養素を把握して、必要な栄養素を治療レベルで補給することで健康を取り戻すのが、分子整合医学の基本的な考え方です。

この治療法が現れるまで、摂食障害は精神や心理面にアプローチする方法が主でした。しかし、分子整合栄養医学が現れたことで、体の細胞にアプロ―チする新しい治療が展開され、心理面を改善しても納まらない過食衝動の治療として注目されています。

参考:『神経性やせ症の栄養療法』鈴木.2015

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/7/104_1479/_pdf

対人関係療法で治す

摂食障害の対人療法の流れ

対人関係療法とは親や兄弟、パートナーなど、自分に大きな影響を与える立場の他者と、「今の関係」に焦点をあてることで問題を解決していくカウンセリング療法です。
元々はウツ病の治療法として開発されたものですが、摂食障害、特に過食症の治療にも効果が認められています。摂食障害は強いストレスがひき金となって発症する場合がありますが、私たちが感じるストレスの多くは対人関係から生まれることが多いもの。対人関係療法では、特定の相手との関係の中で4つの問題領域を検証し、相手に期待していることや、相手や自分と期待とのズレを自覚することで問題解決の糸口を探っていきます。
治療にあたっては一定のペースでカウンセリングを受け、およそ12~16回ほどの通院が目安と考えられています。

認知行動療法で治す

摂食障害の認知行動療法の流れ

認知行動療法とは、考え方や捉え方を正しい方向に修正する治療。摂食障害になると、平均と比べて病的なほど痩せているのに、
「自分は太っているから痩せなくては」
「太っているから食べてはいけない」
と強迫に近い考えになってしまいます。そのような食事や体型に対する凝り固まった考えを、医師との対話によってやわらかくほぐしていく方法です。

よく心理療法(カウンセリング)と同じと思われますが内容は全く異なります。心理療法は摂食障害のひき金となった原因を探るために、過去の出来事やトラウマと向き合って心理的原因に対するアプローチを行いますが、認知行動療法は心理面にフォーカスせず、いまの考え方や思考にアプローチし、思考トレーニングで改善していきます。

なぜ太っていると思うのか、過食が起こりやすい状況はどんな時か、その時にどんな対策をすべきかなど、いまの状況を把握したうえで「どうしていくか」を医師と相談しながら行動していきます。
例えば、過食嘔吐がやめられない人であれば、どんな時に過食嘔吐をしてしまうのかを把握。そのためにも、過食をした回数と過食量の記録をつけるという小さな課題から始めていきます。記録を見ながら正しく記録が付けられているか、過食してからすぐに記録をつけているかなど、課題を積み重ねていくことで現状を理解・改善し、「過食しなくても大丈夫」「ちゃんと食べても体型に大きな変化はない」と思考を修正していくのです。

多少面倒で時間はかかりますが、考え方を根本から変えることで、摂食障害の治療に繋がる方法です。治療中は精神的・肉体的につらい時期もありますので、医師や家族の強力サポートのもと治療が進められます。

薬物療法で治す

摂食障害の薬物療法の流れ

向精神薬を使う治療法です。向精神薬はあくまで対症療法であるため、薬だけで摂食障害が完治できるわけではありません。

抗うつ剤や精神安定剤の例

  1. 抗ウツ薬…ウツ症状や激しい落ちこみ、食べ物に対する執着心などを和らげる
  2. 抗不安薬…イライラして落ち着かない、他人と会うと緊張してしょうがない、冷や汗が出て止まらないなど、不安な気持ちが引き起こす諸症状を和らげる
  3. 抗精神病薬…摂食障害が生み出す感情の激しい揺れや衝動的な感情・行動を和らげる
  4. 睡眠導入剤や睡眠薬…不眠気味、寝つきが悪い、夜間の過食がやめられない人の睡眠改善
  5. ホルモン剤(ピル)…無月経など婦人科系にトラブルを改善
    ※ホルモン剤を服用すると月経は再開しますが、根本的に体が回復しなければ、自力で月経を再開させることはできません。

摂食障害の薬物療法の例

他にも、過食症の場合は、無茶な大食いや過食をしてしまう衝動を抑えることを目的に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬という薬を処方して効果があったという報告があります。ただし、選択的セロトニン再取り込み阻害薬を投与するだけで、過食症そのものの症状が治まったというケースはほとんどありません。ですので、ただ薬物だけを漠然と投与して治療をしないほうが良いでしょう。

拒食症、過食症のどちらも今のところ、病状を根本から解決する薬物療法はないというのが現状です。ほかの治療を受けながら、そのサポート的な対処法として薬物療法を考えておいたほうがよいかもしれません。

入院治療にて治す

摂食障害の入院治療の流れ

摂食障害の中でも拒食症の場合は、命の危険に関わるほど体重が激減しているケースがあり、自分で治療を行うことが困難な場合は、入院して治療を受けなければなりません

入院治療を受ける適用条件として、急激に体重が減少していることが明らかな場合、低カリウム血症や心臓異常所見、糖尿病の合併などの重篤な身体合併症がある場合、うつ病や強迫性障害、自傷行為といった重篤な精神疾患を合併している場合、拒食症の原因が家庭環境にあるため、治療環境として自宅が不適切だと判断された場合などが挙げられます。

入院治療を行う上でのポイントは、事前にしっかりと話し合ってから治療を行うことが重要です。患者だけでなく家族なども交えて、今後の治療方法を明確にし、達成することが可能な治療目標を立てなければなりません。この作業を行わないで、入院治療を始めてしまうとその後の治療に悪影響を与えてしまうことになります。

一般的にはまず栄養状態の改善に取り組んでから、心理的な問題を解決していきます。ある程度、体重が回復しないと心理面の治療の効果が得られにくいのが理由の1つです。だからといって、体重を増やすことだけを目標にしてしまうと、患者がただやみくもに食事をして退院してしまうということになってしまいます。ですので、入院しながら体重が回復する様子を観察しつつ、そこで生じてくる心理的な葛藤を担当の看護師や栄養士がチームでサポートして行くことが大切です。

拒食症の患者の中には、口から食事を取ることが難しいケースも。その場合は、鼻の穴からチューブを通して栄養剤を投与することも可能です。

拒食症の治療は、研究などによって発表される治療手順にそのまま当てはめることができるケースが少なく、基本的には、これまでの治療経験を元にしたものがほとんど。中でも、過食・排泄型によって低体重になった拒食症の患者は、制限型に比べると、簡単にはいかないケースがあるので、長い目で治療に当たらなければなりません。一般的に、摂食障害の治療効果が表れるのは、早くても1年以上、通常の場合は4~5年の年月が必要だと言われています。ですので、治療に当たるスタッフは、患者との間に安定した関係を築くことが必要不可欠です。

とくに拒食症の場合は、命の危険に関わるほど体重が激減している場合があり、入院して治療が必要です。 拒食症の場合では標準体重の60%を下回るケースも多く、カラダが衰弱し、後々まで重い合併症が残ることがあります。その他にも栄養失調や嘔吐・下痢に伴う低カリウム症、脱水症状から引き起こされる腎不全など、様々な合併症が考えられます。そのような重篤な場合は、病院に入院してカラダと心を根本から治療する必要があります。
病院や専門施設で専門医のもと、栄養失調を回復させるための点滴や薬の投与などを行います。自傷行為などを起こす場合は、精神病院に入院する場合もあります。

その他の治療方法は?

摂食障害の治療法は日々研究が進んでおり、様々な方法があります。

他のページでご紹介した自分で摂食障害を克服するものや、これまでにご紹介した病院で治療するものなど、症状によって適した治療があります。

他にも次のような治療方法があるので、確認してみてください。

家族療法

摂食障害の家族療法の流れ

摂食障害を招いた原因に家族が関わっている際の治療法です。摂食障害は親や兄弟など、家族関係が大きく影響しているケースが少なくありません。たとえば親の干渉、過保護といった直接的な関わりはもちろん、両親の不仲や家庭環境が不安定であるといった場合も考えられます。
父親と母親の言うことが違っているため混乱する、愛情を感じられないまま大きくなる、家族から「太った」などと日常的に言われるなど、家族関係で抱える問題やストレスが摂食障害につながっている場合は家族関係を改善しない限り治療が進みません。患者本人だけでなく、臨床心理士などの専門家が家族の間に入って話し合いをすることで、解決策を探っていくのが家族療法です。

集団療法

摂食障害の集団療法の流れ

集団療法は、摂食障害をおこしている患者同士が交流し、話し合いを重ねることで心理的な改善をめざす補助的な治療法です。
摂食障害に悩む人の多くは心に孤独や苦しみを抱えており、1人で悩んで思いつめてしまう場合が少なくありません。また対人関係に悩み、自分の殻の中に閉じこもってしまう人もいます。そこで同じ悩みを持つ患者同士が交流し、気持ちを共有したり励まし合ったり情報交換を行うことで、視野を広げ他者の考えを受け入れやすくなるという効果があります。
苦しいのは自分だけじゃない、自分だけが異常なんじゃない、と確認することで、前向きな気持ちをひき出すことができます。多くの場合、医療スタッフが介在せず、患者同士で自由な話し合いをするよう促されます。病院によっては摂食障害の子供を持つ家族による集団療法を行うところもあります。

摂食障害の治療で家族が心がけたいこと

摂食障害の治療の一つに家族療法があります。家族療法をしない場合でも、摂食障害の治療をする際には、家族の理解と支えが必要となります。

家族が摂食障害になれば「あの子が摂食障害になったのは私が悪かったのだ」「病気の原因は自分だ」と自分を責めてしまう方もいるかもしれません。しかしながら、摂食障害の原因は親の接し方だけが原因ではありません。摂食障害になる方は、他の方と比べて気持ちに敏感で、気持ちのコントロールや人の接し方がほんの少し不器用なだけなのです。ストレスの多い現代、繊細で敏感な方や、不器用な方が生きていくのは大変です。その点を理解して、家族が支える。そんな気持ちで接してみてはいかがでしょうか。

摂食障害に悩む子供は、親のメンタルヘルスに敏感です。家は安心できる場所であると感じてもらうためにも、親の不安定な気持ちを見せないように心がけましょう。とはいえ不安なこともあるでしょうから、家族の会や医師などに相談し、不安を解消することも大切です。

また、過保護・過干渉・過度な心配は、子供にストレスを与え、悩みを相談できない環境を作ることになります。一方で放任しすぎてしまうのも 逆に孤独感を助長させてしまうことになります。どんな対応をすればいいのか、家族も少しずつ、学んでいく。そんな姿勢で最初から完璧を求めずに、共に歩んでいきましょう。

それぞれの治療法を詳しく見る



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