摂食障害と併発する強迫性障害とは?
今回は、この強迫性障害とはどんなものかを詳しく紹介していきます。
強迫性障害とはどんな病気
強迫性障害とは、自分の意志に関係なく、不安な気持ちや不快な考えが浮かんでしまうこと、または、そのような不安な考えをなくすために意味のない行動を何度も繰り返してしまう心理的な病のことを言います。
主な症状として、手で何も触っていないのに、手が汚れているのではないかと不安になって何度も手を洗ったり、鍵をかけたはずなのに、かけたかどうかが心配になって何回も施錠したかどうかを確認するなどの行為が挙げられます。
摂食障害と併発している場合は、特に拒食症の場合に、繰り返して運動をしてしまうケースや、ほとんど食事をしていないのに食事をすると太ってしまうのではという恐怖心を抱いてしまうことが多く、これらの行動に何の意味がないことややりすぎてしまっていると頭ではわかっているけれど、どうしてもやめられないのが特徴です。
強迫性障害は、省略してアルファベット3文字で「OCD」と呼ばれ、発症する確率は100人に対して2~3人なので、決して珍しい病気ではありません。発症する年代は10~20代が多い傾向にありますが、場合によっては小児期から症状が始まることもあります。
強迫性障害の症状
強迫性障害の種類として代表的なものとして、次の3つが挙げられます。
不潔恐怖
汚れに対して強い恐怖心を抱き、長時間にわたって洗浄すること。必要以上に手を洗ったり、繰り返して入浴したり、選択をしたりする場合はこれに該当します。また、ドアノブや手すりなどの他人が触れる機会が多いものに対して不潔と感じてしまい、触れることができないケースも不潔恐怖の1つです。
確認行為
鍵をかけたり、電化製品の電源を切った後に不安になって、施錠を確かめたり、電源を切ったかを何度も確認するのが、確認行為です。一度、確認すると一時的に安心はするものの、時間がたつとすぐに不安になって確認してしまいます。症状が重症化すると、自分で確認するだけにとどまらず、家族など周囲の人間に確かめさせるケースがあるので、注意が必要です。
加害恐怖
加害恐怖とは、誰かを傷つけてしまったのではないかという衝動にかられ、罪悪感に苦しむことです。この結果、自分がこのようなことをしていないかを周囲の人や警察、新聞やテレビなどで確認するという行為に及びます。
また、自分で決めた順序でものごとを進めないと不安に感じてしまったり、ラッキーナンバーや不吉な数字などに以上に執着してしまうことも特徴の1つです。
強迫性障害になりやすい人
強迫性障害のこれといった発症要因は現在でも特定されていませんので、一概に決めることはできませんが、強迫性障害の研究を行っている世界的機関OCCWGによると、几帳面な人や完璧主義などの性格の人が強迫性障害になりやすいと言われています。拒食症などの摂食障害を発症してしまうと、これらの性格によく似た心理状態になりやすいため、強迫性障害を併発してしまうことが多いのです。
もちろん、これらの性格の人すべてが強迫性障害になるわけではありません。生活環境など、その他の要因と組み合わさって症状が現れることが多く見受けられます。
強迫性障害のチェックポイント
世界保健機関(WHO)によると、強迫性障害かどうかのチェックポイントとしてあげられるのは
・不安な気持ちや無意味な繰り返し行動が2週間以上にわたって、ほぼ毎日現れること
・これらの行為がやりすぎで、意味がないことを自分で自覚していること
・この症状が日常生活や社会で暮らす中で妨げになってしまっていること
の3つです。これらの症状を全て満たすようであれば、強迫性障害と診断される可能性は高くなります。
強迫性障害の治療法
強迫性障害の治療法には、薬物療法と認知行動療法の2つが有効で、両者を並行して行うとさらに効果的だと言われています。
薬物療法
文字通り、投薬をしながら治療を行うことを指します。使用される薬は、脳内のセロトニンに効果が期待されるSSRIが一般的です。ある程度、継続して服薬することによって、繰り返して行動したくなる気持ちが抑制されて、気持ちに余裕が生まれる効果が期待できます。
認知行動療法
ものごとに対する考え方や受け止め方を見つめなおすことで、気持ちを楽にする精神療法が、認知行動療法です。中でもよく用いられる手法が「曝露反応妨害法」。これは、強迫性障害によって引き起こす不安な状況になれる訓練を行うことを言います。
認知行動療法は、薬物療法と同じ、もしくはそれ以上の効果があるとされていますが、治療を行える専門家の数が少ないのが難点です。
まとめ
摂食障害と併発する可能性がある強迫性障害について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。摂食障害と同様で、治療を行うには家族や学校といった周囲の理解や支援が必要です。もし、自分が強迫性障害に似た症状になっていると感じた場合は、一旦、落ち着いてから深呼吸をしてみましょう。そして、かかりつけ医や保健所、精神保健福祉センターなどに相談するのがおすすめです。