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過食症には、吐くタイプと吐かないタイプがあります。

過剰に食べ続けてしまう過食症や過食嘔吐は、放置するとカラダに深刻な影響も!

食べることが止められない、過食症とは?

食べることを止められない、過食症とは?

食欲をコントロールできずに、異常なドカ食いを繰り返す病気です。

過食症とは、摂食障害(過食症・過食嘔吐拒食症)の一種で、食欲をコントロールできず、異常なほど大量の食べ物をひたすら食べてしまう病気のこと。摂食障害の1つであり、「過食と嘔吐を繰り返す場合」と「過食のみを繰り返す場合」の2パターンに分かれます。神経性大食症とも呼ばれ、ストレスが原因で起こることも多く、また逆に過食によるストレスから精神障害を引き起こすケースも多いです。
こちらでは、「過食症」とは何かと各症状、特徴、診断基準などをご紹介します。

過食症とは?

過食症は、「神経性大食症」と呼ばれ、一種の摂食障害です。自分をコントロールできずに食べてしまうので、周りにいる人の協力が不可欠です。短時間で大量の食べ物を摂取することにより、精神的、身体的にもかなりのダメージを負うことになります。

過食症には、食べた分だけ吐き出す”過食嘔吐と、まったく吐かずに食べ続けるケースがあります。

米国精神医学会の診断基準で、週1回でも過食が見受けられれば治療が必要とされています。

周囲の人はなかなか気付かないこともあります。自分でも病気と思わず、援助を求めないことも少なくありません。症状が進むと、うつ病になったり、体調を崩しやすくなったりするため、周囲の人はなるべく早く気付いてあげて、神経性過食症の特徴をよく知り、当てはまることが多いなら医療機関に早めに相談することをおすすめします。

過食嘔吐

過食嘔吐の流れと後遺症の危険

過食症状が始まると、我を忘れて食べ物をつめこみ、気づくと家の中の食糧を食べ尽くしていた…コンビニで大量に買い込んだ食料を全部食べてしまった…など食欲のコントロールができなくなります。過食してしまった後、「どうしてこんなに食べてしまったのか」と激しく自分を責めたり、気持ちが落ち込んで抑うつ状態に陥り、太りたくない一心から口に指を入れて嘔吐をし、食べたぶんを「なかったこと」にしようとします。
このように食べては吐き、食べては吐きを繰り返すのが「過食嘔吐」タイプです。
拒食症のように低体重のケースもありますが、見た目にはチョイ痩せ程度のケースも多く、はた目から気づかれにくいのが特徴。最初は苦しい思いをして吐いていても、カラダが慣れると次第に楽に吐けるようになって習慣化し、食道に炎症がおこったり、胃酸で歯がボロボロになるなどの合併症を引き起こします。「後で吐けるから大丈夫」という安心感から過食がエスカレートする場合も少なくありません。また下剤を常用する人もいますが、カラダが慣れて量が次第に増えていき、規定を超える下剤の乱用から腸の機能停止を引き起こす場合があります。

吐かない過食症

吐かない過食の危険性とは

嘔吐や下痢などを伴わず、食欲をコントロールできない状態で過食を繰り返す過食症は別名「むちゃ食い障害」とも言われます。 短時間で大量の食品を食べ、あまり時間をおかずにまた過食するというサイクルを繰り返すため、精神的・肉体的にストレスがかかり、さらに過食がエスカレートする悪循環におちいるのが特徴です。 嘔吐をしないためカロリー過多で肥満になるケースが多く、比較的周囲が気づきやすいといえます。むちゃ食い障害が続くと脂肪肝など様々な健康被害を引き起こしたり、食べてはいけないと分かっているのに止められない自分に強い自己嫌悪を感じ、引きこもりの生活に陥るなど精神が不安定になる傾向があります。

過食症の行動

過食症の行動

コントロールできない過食

自分の意思で食欲をコントロールできないため、大量の食べ物を短時間でドカ食いするという行為をくり返します。満腹を感じることができないために、異常な食べ方をします。

短いスパンでの過食

通常の食事時間とは関係なく、短いスパンでドカ食いをくり返します。2時間以内に過食を繰り返す人もいます。特に強いストレスを感じて、夜にドカ食いする人が多いのが特徴で、家にある食べ物を食べ尽くすだけでなく、コンビニに買いに走って過食を続ける人もいます。

体重の急な増減

吐かないタイプの過食症は、体重や体脂肪が増加して肥満を引き起こします。また過食後に絶食して食べたぶんを取り返そうとして、短期間で体重の増減をくり返します。

嘔吐、下痢

過食嘔吐の場合は、過食後に自分で無理やり嘔吐を起こしたり、下剤・利尿剤を使うなどして食べたものを体外に排出しようとします。最初はカラダに負担がかかる嘔吐や下痢も、習慣化するとカラダが慣れてしまい、様々な合併症が現れるようになります。

過食症の症状

過食症の症状

肥満

嘔吐や下剤の乱用を伴わない過食症では、短期間で大幅に体重や体脂肪が増え、肥満を引き起こします。体重が10kg以上増加する場合も珍しくありません。

脂肪肝、糖尿病、心筋梗塞など

過食症の場合は食べる量はもちろん、カロリーの高い食品を大量に取ってしまう傾向があります。そのためコレステロール値や中性脂肪が上昇したり高血圧になりやすく、心筋梗塞や糖尿病、脂肪肝などを引き起こしやすくなります。

浮腫み、肌あれ、口内炎、薄毛(脱毛)

過食嘔吐を繰り返すと、強い栄養失調になります。鉄の不足や貧血を起こすと、髪の毛が急激に抜けたり、口内炎や肌あれなどを引き起こします。また嘔吐により、カリウムなどカラダに必要なミネラルが不足し、浮腫みの原因にもなります。

食道炎症、 胃腸不良、歯が溶ける

嘔吐や下痢を繰り返すと、逆流する胃酸によって食道が炎症を起こしたり、歯のエナメル質が溶け出して虫歯の原因になります。腸の機能低下が起きるなどの症状が起きます。

生理不順、無月経

拒食症から過食嘔吐に転じるケースがほとんどのため、低体重を維持するケースが多く、強い栄養失調から生理不順や無月経になる場合がほとんどです。無月経が長期に続くと、子宮や卵巣が委縮し、自力で月経再開が難しくなる場合もあるため、注意が必要です。不妊症の原因になることもあります。

抑うつ状態、反社会的行為、自傷行為

過食を繰り返す自分に激しい自己嫌悪をいだくため、精神不安やウツ病におちいったり、ストレスから逃れるために万引きやその場限りの異性交遊などを衝動的に行ってしまうケースがあります。抑うつ状態が続くと自殺に至る場合、注意が必要です。

過食症の判断基準

過食症の判断基準

過食症を「食べすぎ」と勘違いする人がいますが、過食は単なる食べすぎとは比較にならないほど、大量の食品を一気に食べることに最大の特徴があります。

  1. 1むちゃ食いを繰り返し。むちゃ食いは以下の2つによって特徴付けられます。
    • ある時間内(例:1日のうち何時でも2時間以内の間)、普通の人が食べる量よりも明らかに多い食物を食べること。
    • 食べている間には、食べることをコントロールできないという感覚がある。
      (例:食べるのをやめることができない、または、何を、またはどれほど多く、食べているかをコントロールできないという感じがする)
  2. 2体重が増えるのを防ぐために自己誘発性嘔吐、下痢・利尿剤・浣腸などの薬剤を誤った使用、絶食、過剰な運動など不適切な代償行動を繰り返すこと。
  3. 3むちゃ食いおよび不適切な代償行動は、共に平均して少なくとも3ヶ月にわたって週2回起こっている。
  4. 4自己評価は、体形や体重の影響を過剰に受けている。
  5. 5障害は、神経性無食欲症の期間中にのみ起こるものではない。
  6. アメリカ精神医学会のDSM-IVにより

こうした「異常なほどの量を一気に食べる」「食べたいと思っていないのに、食べることがやめられない」「短いインターバル(2時間以内など)で過食を繰り返す」といった症状が、過食症の判断基準となります。

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過食症の傾向

神経性過食症は、その多くが、むちゃ食いや絶食などの食事制限などを繰り返すことによって生じています。食事の摂取に対する正常な感覚が失われてこのようになりますが、その背景としては、やせることを達成できなかった自己嫌悪や不信感、それによってむちゃ食いをした罪悪感などが反復的に重なることで、症状として定着してしまっています。結果的に、心因的な要素が過食症という症状を育ててしまっている形となっています。


神経性過食症の特徴としては、見た目だけでそれと判断できないことも多いため、仮にもしかすると?と思うことがあっても、一般的な人にとってみれば相手が過食症だと疑うことも難しく、医療機関の受診を勧めることができるまでには至らないケースも多くあります。


神経性過食症の恐いところは、女性であれば月経異常をもたらすことがありますし、全般的に自傷行為などの衝動的行為につながる危険性もあります。なかには、思春期ではなく、中年期になってから発症する人もいることから、誰にでも発症する可能性のある危険な病気だと言えます。そのため、自分の身体のことですし、すこしでも不安と危険を感じているのなら、早めに医師の診察をうけましょう。


参考:みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_eat.html


参考:中年発症のbulimia nervosa(BN)の1例(心身医, 第35巻 第5号,1995年6月)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/35/5/35_KJ00002384949/_pdf/-char/ja

過食嘔吐をしてしまう理由

過食症から過食嘔吐に至りやすいのはなぜ?

過食症から過食嘔吐に至りやすいのはなぜ?

過食症になると、ほとんどの人が過食嘔吐に至ります。これは衝動的に食べ物を食べてしまっても、太らないようにするためです。中には、飲み込まずに口の中で噛み吐き出す(チューイング)人もいます。こうすることで一時的に衝動を抑え込めるのですが、この場合「飲み込む」ことの満足感が得られないため、多くは嚥下した後に吐き出す過食嘔吐に至ります。

摂食障害を経験したことが無い人からしたら「太りたくないなら食べなければいい」と思いますよね。食べたい衝動を「甘え」だなんて言う方もいます。しかし、それが我慢できれば誰も悩むことなんてないのです。周りの人が想像する以上に、過食衝動は激しいもの。頭の中が食べ物のことばかりになって、何かを食べるまでは他のことが考えられなくなってしまいます。まるで脳の信号が壊れているような感覚になるほどです。

そして食べはじめて衝動が落ち着いてくる頃に「また食べてしまった…」と今度はどうしようもない後悔が襲ってきます。抑制できなかった自分への苛立ちで虚しくなります。ただ「食べる」という行為なのに、どうしようもなく悪いことをしている気持ちになってしまうのです。そしてそんな自分が許せなくなります。

冷静になれるのは、いつも食べた後。それなら食べた後に、無かったことにすればいい…。ここで過食症患者は吐くことを覚えます。嘔吐すれば太る恐怖から逃げることができる。衝動に負けた自分も許してあげることができる。こうして過食症になった人のほとんどが、自分を傷つけるだけの過食嘔吐をするようになってしまうのです。

ダメな自分を許せない

過食嘔吐は、過剰に食べて過剰に吐く。この行為の中に、喜びも得られるものもありません。むしろ体調はどんどん悪くなりますし、金銭的な負担も大きくなるばかりです。そんな姿を見て「せめて嘔吐だけでもやめさせよう」と周りの方は心配しますよね。しかし摂食障害になりやすい人は「自分はこうでなければいけない」という強迫観念が人よりも強いため、傷ついてボロボロになっても自分のルールに反することは受け入られないのです。

だから太ることができない、ダメな自分を許せない。しかし食べたい衝動はいつになっても抑えられず…。そうして延々と過食嘔吐を繰り返してしまうのです。

過食衝動の原因は、機能性低血糖かも?

摂食障害は精神疾患の1つとして捉えられてきました。そのため、抗うつ剤などの投薬治療やカウンセリング、入院療法など日本では精神科での改善が主流となっています。しかし近年、海外の研究で別の原因が注目されはじめました。

それは低血糖症です。低血糖症とは、血糖値やインスリンのコントロールがうまくいかなくなり、体や心の不調があらわれる病気のこと。

通常、食べ物を摂取すると血糖値が上がるので、インスリンというホルモンが血糖値を調整します。しかし、低血糖症は血糖値に対してインスリンが過剰に分泌されてしまうといったホルモンバランスの異常が発生し、血糖値が急下降してしまいます。

低血糖症と正常な血糖値の違い

血糖値が急激に下がると、脳は「栄養が足りていない!何か食べなければ体が危険だ!」と判断します。その結果、過食衝動に至り、過食を行ってしまうのです。

低血糖症の血糖値の動き

低血糖症の過食衝動は、自律神経やホルモンが指令を出して起こるもの。つまりコントロールできないほどの強い過食衝動ほど、低血糖症が原因である可能性が大きいそうです。

もちろん、根本的な原因が精神的なところにある方もいます。しかし、この低血糖症を治療することによって、過食衝動が落ち着き、過食症を克服したという方が増えています。

過食症、過食嘔吐を治したいのに過食衝動がコントロールできない。そんな方は一度、自分が低血糖症ではないか検査してみることをおすすめします。

クリニックハイジーア

摂食障害治療を専門的に扱い、従来の薬物投与やカウンセリングとは全く異なる「栄養療法」で症状を改善させるクリニック。特に「コントロールできないほどの過食衝動」で悩む方の多くは、機能性低血糖症を引き起こしている可能性があるため、この栄養療法が大変効果的と言われています。無料カウンセリングも実施しているので、まずは相談だけでも行ってみると良いでしょう。

(関連ページ:低血糖症の検査・治療を行う栄養療法

過食症と機能性低血糖症のつながりについて

東京女子医科大学の論文にて、低血糖症と女性の不定愁訴(ふていしゅうそ)に関する検証が紹介されました。

不定愁訴とは、なんとなく体調が悪い、イライラする、よく眠れない…。という自覚症状をまとめた医療用語です。他人から見ると分からず、症状の原因もわからない。そんな症状の原因は低血糖症にあるのではないか?という研究が行われたのが、今回紹介する論文です。
論文中には、不定愁訴を訴える女性たちの症例と、実際の血糖値の変化が紹介されていますが、その症例のなかに摂食障害や過食で悩んでいた人がいました。

症例1(25歳 女性 身長156cm 体重43.5kg)

冷えや頭痛、抑うつ感、イライラといった自覚症状アリ。子どもにあたったり、お菓子の過食に頼ってしまうという状態。月2万円を自分のお菓子に費やすなど、乱れた食生活を送っていた。血糖値の検査を行ったところ、低血糖症の傾向がみられた。

症例2(39歳 女性 身長161cm 体重45kg)

若い時に摂食障害となり、一時無月経となるまで追い込まれた。現在症状は収まっているが、お菓子を食べると頭がスッキリするという状態に。強い疲労感と焦燥感に襲われることが度々あり、不定愁訴と言われる症状はほとんど当てはまるようになったころ、職場の同僚からまっすぐ歩けていないと指摘を受けて受診。血糖値の検査を行ったところ血糖値が異常に低く、低血糖症だと発覚した。

芸能人にも同じ事例が

2016年、AKBに所属する岡田奈々さんが、摂食障害、過食嘔吐を引き起こし、機能性低血糖症だったと告白されました。的確な治療を受けたことで、また舞台に立てるほどまで回復できたと総選挙の場で語っています。

考察:つながりは見られるがまだまだ認知の低い機能性低血糖症

機能性低血糖症と摂食障害の関連性について、まだ一般的とは言えませんが、論文や症例を見てみると、関連性が強いということがわかりました。特に、摂食障害だけでなく不定愁訴の症状がある人は、一度疑ってみてもよいかもしれません。

参考:女性の不定愁訴と低血糖症との関わり[PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/14/3/14_KJ00006159191/_pdf/-char/ja


参考:AKB選抜総選挙岡田奈々さんの告白:機能性低血糖症と摂食障害
https://news.yahoo.co.jp/byline/usuimafumi/20160618-00058977/

過食症を克服した女性にインタビューをしてきました

インタビュー画像

今回取材させて頂いたのは、ブロガーのうぴこさん。過去、長期にわたり過食症と過食嘔吐を繰り返していたそうですが、現在はどちらも克服し、ブログにはご自身が日々思っていることや感じること、食事の記録などを書かれています。

待ち合わせの時間。凛とした佇まいで、モデルのような顔立ちの女性が現れました。

ーはじめまして。…すごい、よく美人って言われますよね。

思わず、そんな言葉を漏らしてしまった私に「そんなことないですよ」と謙遜するうぴこさん。話す時の視線、仕草、姿勢、声のトーン。完璧な美人、そんな言葉が浮かびました。今日はよろしくお願いします。と、挨拶と少しの会話を挟み、早速インタビューへ。

ー早速ですが、過食症との付き合いはいつからですか。

うぴこさん「予兆があったのは学生の時。今より14キロ太ってました。若い頃ってモデルさんとか憧れるじゃないですか。で、雑誌とかに体重とか書いてあって。あ、モデルさんってこんなに痩せてるんだなぁって思って。それから、平日にご飯抜いたりするダイエットをするようになったんです。でも、週末に我慢した反動ですごく食べちゃう。その繰り返しをしていたあたりかな」

ー1番ひどかった時期は?

うぴこさん「痩身専門教室で働いていたんですけど、この時体重が50キロだったんです。でも、47~48キロに落とせって言われて」

ーえっ。身長けっこう高いのに、その体重は厳しいですよね

うぴこさん「すごく厳しくて。自己管理も仕事、みたいな。でもその時は職場の方針に乗っ取ってダイエットしていました」

ー具体的な方針って聞いても大丈夫ですか

うぴこさん「はい。まぁそんな無理なものではないんですけど…。食事ノートってものがあったんです。毎日食べたものを記録して、上司に見せるんですけど…。私、甘いものがすごく好きで。で、シュークリームとか食べちゃうじゃないですか。そうすると、シュークリームの項目に「△」がつくんです。甘いものには全部「△」をつけられちゃうんです」

ーいやそれ、かなりひどいですよ

うぴこさん「まぁでも職業柄仕方ないのかなって。でも、生理前とか、甘いもの我慢できないときってあるじゃないですか。食べたいけど、三角のチェックつけられたくなくて。すごくストレスでした」

うぴこさんの凛とした空気とは裏腹に、所々真面目さが伺えました。

ーよく我慢できましたね…

うぴこさん「やっぱり我慢できなくなって。ちょうどその頃、過食嘔吐の記事かな?吐き方みたいなのを読んじゃったんです 。『食べて戻す、手段を見つけてしまった』って感じでした。でも、実際やってみたらうまくできなくて。その時に、私にはやっぱ無理、こういうのやる人たちとは違うんだって思ってたんですけど…」

ーですけど…?

うぴこさん「一度、うまくはけちゃったんです。しばらくは吐くコツまで掴みきれてなかったんですけど『これなら食べれる、いいじゃん』って、戻すようになりました。それからは、戻せるからこそ、食べちゃいけない、高カロリーなものばっかり食べるようになって」

ー吐くの、くせになると聞きました。よく辞めれましたよね

うぴこさん「吐くと気絶するように寝ちゃうんです。ダメだ、もう吐けないってなって1年前くらいにやめました」

まるで何事もなかったかのように、あっけらかんと話すうぴこさん。少し深入りしてみることに。

ーお母さんってどんな人ですか?

うぴこさん「心配性かな。結構過保護だし厳しくて『〜しちゃダメ』がとにかく多い。進路を選ぶのも、彼氏を選ぶのも母親のチェックが入って。でも最後は優しい。今でも電話とかよくします」

ー…なるほど。反抗期とかはありました?

うぴこさん「ありました。高校生のときかな、けっこう喧嘩になりました。家出もしたし」

ーご兄弟はどうしてたんですか?

うぴこさん「兄がいるんですけど。兄も反抗期の時ひどかったです。でも兄は頭がよくて、なんでもうまくやれちゃう優等生なんですよ。で、反抗期の時期はめちゃくちゃ私に八つ当たりしてきて。殴られたり」

ーお母さんはとめないんですか?

うぴこさん「とめないですね。でも私もやり返していたんで」

ー…うぴこさん、結構ロックですよね

うぴこさん「(笑)」

ー今は彼氏さんと同棲中なんですよね?長いんですか?

うぴこさん「一度別れて、復縁しました」

ー喧嘩とかですか?

うぴこさん「忙しくて会えなくなった時期かな、『おまえ会う気あんの?』って言ったら音信不通に」

ー(笑)でも、今はやっぱり支えられてるって感じしますか

うぴこさん「思いますね」

ーそういえば、ブログってなんで書き始めたんですか?

うぴこさん「ちょうど1年前、吐くのをやめるために書き始めました」

その後、ブログを書くことについてお話ししてくれたうぴこさん。うぴこさんにとって、ブログは過食嘔吐の代わりに、吐き出す場所のように感じました。

ー今でも体重にこだわったり、過食することってありますか?

うぴこさん「痩せたいって気持ちはあります。でも、がーっと食べなくなったかな。ただ、お酒とか飲んで理性がなくなると食べちゃいますね。それでも量が減ったと思う」

ーお酒強そうでうよね(笑)最後に、うぴこさんの夢ややりたいことを教えてください

うぴこさん「私、前とは違うけど今も痩身系のセラピストやってて。ダイエットが好きなんです。やっぱり痩せることで自信もてるじゃないですか。でも、自分に適したダイエットって人によって全然違って。その人にあった方法でやるべきなんです。そういうの教えてあげたい」

自分が経験したからこそ分かること、経験してさらに勉強や研究を重ねたから教えたいと思えること。うぴこさんの言葉にはその両方を感じました。

そばで支えてくれる恋人ができると摂食障害は治る?

取材に行く前、拒食症を克服した女性としてインタビューさせて頂いたナナさんのことを思い出していました。(別ページ「拒食症を克服した女性にインタビューをしてきました」

『摂食障害を根治するってことは、自分の、奥にしまっておきたかった心の傷まで治癒するってことですから、本当に大変なことなんですよ』これは以前、摂食障害の患者を扱うカウンセラーさんから聞いた言葉です。重度な摂食障害を体験している方の話を聞いていると、この言葉の通り、摂食障害を克服するということは本当に大変なことなのだと日々痛感させられます。

でも、彼女らはその摂食障害を克服した。克服するだけでなく、こんなにも強く綺麗に生きている。なぜなんだろう。違いはどこにあるんだろう。もしも二人の共通点を見つけられたら、その謎が解けるのかもしれない。そんなことを考えながら二人のブログを何度も読み返していました。

そばで支えてくれる恋人がいる。2人にはその共通点がありました。摂食障害は家庭環境、特に愛情面でのエラーが根源となって引き起こることが多いです。「そばで自分を愛してくれる人ができたから、不足していた愛情が満たされて、二人は克服できたのかもしれない」そんなことを思いつきました。でも、それなら、納得がいく。克服するのが難しい摂食障害も、出会いで変わるのかもしれない。そう思った私は、思えば誘導尋問をするように、家庭のこと、彼氏のこと、を順序立てて聞いていました。

克服することは、自分を変えることと同じ

「やめるために書き始めたの」。流れの中、ブログを書き始めた理由を聞いた時のうぴこさんの回答です。「ブログ?なんで始めたんだっけな。…うーん、人に見られるためっていうより、やめるため。日記帳と同じ感覚。今日あったこととか、文句とか吐き出してる。記録してる。思ったことを書いていたら、すごく楽になって過食もやめられた」

呑み過ぎた時にはやっちゃうけどね、と笑いながら言ううぴこさん。そんな姿を見て、私は途端に自分が恥ずかしくなりました。

完璧主義で、人に弱さを見せないうぴこさん。でも過酷な環境下で、人知れずストレスを溜め込みながら「いい子」を貫き続ければ当然、不具合が出るはずで。それでも自分のまま生きるために、ストレスを解消させようと食べて、食べて、でも太る自分も許せないから、無かったことにするために吐く。これは多分、誰でもできる自分をコントロールする方法。

でも、うぴこさんは、そこから「書いて吐く」という方法に変えて。自分をすり減らす方に逃げた方がずっと楽で効果的なはずなのに、健全で地道な「書いて吐き出す」という行為に置き換えることをした。魔法がかかったように克服したのではなく、今も自制して、その上で、健全な形で吐き出して解消している。恋人ができて満たされて、摂食障害が治る…?飛んだ見当違いでした。

克服することは、自分を変えることときっと同じなのかもしれません。私は「自分を変えたい」と強く思うことがあっても、変わる術を探さず、変われる術を見つけても実行せず、変われた人を見ては「あの人はきっと、こういうことがあったから変われたんだ」と理由を見つけては楽な道にすぐ逃げる人間で。自分を変えることって本当はすごく地道な努力が必要で、出会いやきっかけを待ってるだけでは絶対にできないはずなんですけどね。なんだか、自分の中にあるそういった恥ずかしい勘違いを突きつけられたような気持ちになりました。

確かに二人には、そばで支えてくれる人がいるという共通事項があります。でも本質的な理由は、うぴこさんもナナさんも、「克服したい」と思った時に、二人はその努力をした、それだけなんだと思います。変わりたいと思った時に変わる努力をした人は、タイプが違っても、同じように内側から出る強さと美しさがありました。

取材をさせていただき、うぴこさんの生き方にとても大事なことを確認させられた気がします。そんな他人への影響力があるうぴこさんは、きっとこれから、痩身セラピストさんとして、より多くの女性を励ましていくのかなと思います。

うぴこさん、ありがとうございました。

うぴこさんのブログURL:https://profile.ameba.jp/ameba/upidaryoko58

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関連ページ:低血糖症の検査・治療を行う栄養療法