過食嘔吐で吐きやすい食べ物とは?
胃の保護を行ないつつ、潤滑油の役割を果たしてくれるもの。
粘膜の分泌を助ける食材やカロリーが低い食べ物は、体に負担をかけすぎないものとしておすすめです。過食嘔吐は、止めたくてもなかなか止められないもの。せめて少しでも体への負担が軽くなるように、吐きやすい食べ物や吐き方のコツを知りましょう。
吐きやすい食べ物
過食嘔吐の人が過食をする前に、初めに食べる食材のことを「底」といいます。底は吐くときに潤滑油のような役割をもち消化されにくいもの、胃を保護するものが適しているでしょう。
具体的にはオクラや納豆、とろろといった粘り気のあるもの。その他には海藻や根菜類、ヨーグルトやゼロカロリーのゼリーなどがおすすめです。上記の食べ物は消化するのに時間がかかり、粘り気が吐き出す際の潤滑油の役割を果たしてくれるため、底には最適だといえます。
他にも身体に負担をかけすぎない吐きやすい食べ物をいくつかご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
アイス
乳製品のアイスであれば、胃を保護する役割をもつので、期待できるといえます。乳製品は、胃や喉の粘膜の量を増やしてくれるため、胃酸で荒れやすい胃・食道を多少守ってくれる可能性があります。
ヨーグルト
胃の粘膜を保護し、さらには低カロリーで潤滑油の役割を果たしてくれるヨーグルトは、過食嘔吐の底におすすめできる食べ物です。
パン
パンは適度な水分を一緒に摂れば吐くことができるので、そこそこおすすめです。基本、お米やパスタを含め、炭水化物は吐きにくい食べ物なので、過食嘔吐に適しているとはあまりいえません。パンは、炭水化物の中では、吐きやすい方と認識したほうがよいでしょう。
こんにゃく
こんにゃくは芋類で基本的に消化が悪いといえるので、底に適した食べ物です。その他にもしらたきやさつまいもがおすすめ。
ゼリー・プリン
潤滑油となり、吐きやすい食べ物です。過食嘔吐症の人は、すべての食べ物を吐ききれるわけではありません。底にできる食べ物はなるべくカロリーが低いものを選ぶと良いので、ゼリーならゼロカロリーを選ぶと尚良いでしょう。
豆腐
カロリーが低く、潤滑油の役割を果たしてくれるので、豆腐も底にはおすすめです。
その他にもトマト・めかぶ・オクラ・モロヘイヤ・納豆・とろろ昆布など、潤滑食材に適した食べ物を選ぶようにしましょう。上記の食材を使った味噌汁を試してみると良いかもしれません。
過食嘔吐で上手く吐けない場合の対処法
過食嘔吐は、体に大きな負担を与えるもの。しかし、簡単に止められるものではありません。正しい吐き方を覚えておいた方が身体のためにもなりますので、こちらでは、正しい吐き方をご紹介したいと思います。
- 過食後、1~2分ほど時間をおいて胃の様子をみます。
リラックスして力を入れないように落ち着いて吐く準備を整えます。過食後すぐに吐こうとすると滑りけがなく、吐くのに苦労してしまうこともあります。ただ、1時間以上開けてしまうと徐々に消化が始まるので要注意です。 - 頭を胃より下の位置にもってきて、手を口に突っ込みます。
お腹の筋肉を使って押し出し、一気に吐くイメージです。出ない場合は白湯を2~3杯飲み、再挑戦してみましょう。初めは水分しか出ないかと思いますが、力を抜いて上記の行動を繰り返してみてください。 - 嘔吐後は必ず水を飲みましょう。
水で流さないと胃酸が喉や食道を傷つけ、食道炎などになってしまう恐れがあります。
上手く吐けない場合は、上記で紹介した手順で試してみてください。また、手を突っ込む以外にも、喉を傷つけないプラスチックのスプーンや指3本をサランラップで巻いて突っ込む方法があります。「おえっ」となりやすくなるため、どうしても吐きたいけどどうしても吐けない時はお試しください。
食べる順序を変えることで吐きやすくなる?
食べ物を地層のように積み重ねて食べることを「多層吐き」といいます。吐き出しやすい食べ物を選んだり、食べる順番を変えたりすることで吐きやすくするのです。多層吐きを行なえば、口に指を突っ込むことなく吐ける場合もあります。
多層吐きは、吐きにくい食べ物を吐きやすい食べ物の間に挟むイメージ。具体的には、「ところてん→米・パスタ類→寒天ゼリー・水」といった順序です。喉につまりやすく吐きにくい炭水化物をたべたい場合は、先にゼリーやところてんのような潤滑油の役割を果たしてくれる食べ物を食べましょう。その後に米やパスタ類、さらにまたゼリー類を食べて胃がパンパンになるまで水を飲みます。こうすることで嘔吐が難しい食べ物も吐きやすい食べ物に挟まれた状態で、水分の勢いにより吐き出されやすくなるのです。
多層吐きで注意するべきポイントは、必ず吐きにくい食べ物を吐きやすい食べ物で挟むこと。水を押し込む前には吐きやすい食べ物でサンドイッチしてください。「吐きやすい食べ物→吐きにくい食べ物→吐きやすい食べ物→水」の順番を徹底しましょう。
初めに食べた底となる食べ物が吐き出せたら上手く嘔吐できたという目安にもなります。無理して吐き続ける必要がなくなるため、身体にかかる負担を最小限に抑えられますね。
ただ、1番は過食嘔吐を治すことが身体にとって嬉しいことです。いくら体に負担の少ない吐き方をマスターしても、過食嘔吐は大きな負担には変わりありません。重い後遺症が残ったり、命にかかわる状態になることもあります。すぐに止めることは難しいですが、少しでも負担の軽い吐き方を知り、早めの治療に当たることをおすすめします。
抑えられない過食衝動は低血糖症の疑いがあるかも?
過食嘔吐をやめたいけれど、どうしてもやめられないという人がいます。この時考えられるのが低血糖症です。低血糖症とは、インスリン分泌の異常で血糖値が正常値に落ち着かず、脳が栄養が足りないと誤解し「食べる必要がある!」と判断してしまう症状のこと。
脳からの命令なので、この時の過食衝動は強烈なもの。症状にあらがって過食を我慢するなんて、できなくて当たり前です。
この血糖値の異常に気づけず、「我慢できない自分が悪いんだ…」とまた心理的にストレスを受け、さらに過食に火が付くという悪循環が生まれてしまいます。
もし、心理療法を受けてもなかなか過食衝動に改善が見られない場合は、一度低血糖症を疑ってみてもよいかもしれません。