拒食症と嘔吐恐怖症の違いとは?

嘔吐恐怖症

拒食症は「痩せたい」から、嘔吐恐怖症は「吐きたくない」から

拒食症と診断された人の中には、少ない確率で「嘔吐恐怖症」という症状を持つ人がいます。食事を摂らずに病的に痩せていくという行動自体は同じですが、きっかけや食べない理由が異なっているのです。ここでは、それぞれの原因や対処法について解説しています。

嘔吐恐怖症とは?

嘔吐恐怖症とはその名の通り「吐くことが怖い」という強迫性障害の一つです。嘔吐に対して強い恐怖や嫌悪感を持つことで、嘔吐物そのものはもちろん、嘔吐に近いイメージのもの、嘔吐につながるシチュエーション(飲み会、ジェットコースター)など、を徹底的に避けるという特徴があります。

原因には、過去に自分が嘔吐したことによる恥ずかしい経験や他人の嘔吐物を見た際のぬぐいきれない嫌悪感があります。学校の遠足にてクラスメイトの前で吐いた経験や、家族や大切な人が嘔吐で苦しんでいる様子がトラウマのきっかけとなりやすいようです。

症状は、嘔吐に直面したときの動悸・めまい・震えなど。特徴的なのは、体調不良で吐き気をもよおしても我慢する。嘔吐に繋がるシチュエーションを徹底的に避ける。という点です。げっぷといった日常的な動作も恐怖心が勝ってできなくなることもあります。

拒食症と間違えられやすい理由としては、嘔吐への可能性を徹底的に避けた結果、「食べると吐いてしまうかもしれないから怖い」と行き着いてしまうため。食べたいという気持ちがあるにもかかわらず、嘔吐が怖くて食べられないのが嘔吐恐怖症からの食事拒否行動です。

拒食症との違いは?

拒食症の根本には「痩せたい」という願望があります。なんとしてでも細くなりたい、少しでも体重を軽くしたいという強烈な願望のために、自らの意志で食事を制限するのが拒食症です。

拒食症の人は体重が減ることに喜びを感じるため、食べないことも喜びに変わります。

嘔吐恐怖症の場合は、恐怖心による消極的な食事拒否ですが、拒食症の場合は願望実現に向けた積極的な食事拒否ということがわかります。

ただ、中にはどちらも発症している人もいます。痩せたいという気持ちで拒食症になり、食べずにいた結果、食事を摂ると吐き気をもよおしてしまう。その吐き気をもよおす感覚が恐怖症に…。といった流れです。

併発してしまうと治療の難易度が上がります。拒食症は自ら進んで食べることを拒否しているので、食べようと思えば食べられるのですが、嘔吐恐怖症は食べたくても食べられません。

できるだけ併発させないように早期の治療に取り掛かることが、拒食症完治には大切なのです。

嘔吐恐怖症の治療法

恐怖症の改善には行動療法や認知行動療法、薬物治療があります。

  • 行動療法

    行動療法とは、恐怖心が薄い行動からチャレンジしていくことで、徐々に恐怖心を薄くしていく治療法。

    例えば、食事をすることが嘔吐に繋がると考えているのであれば、ガムや飴など、固形物として胃の中に残らない食べ物から食べてみるところから。それが問題なければ、ゼリーやヨーグルトなど柔らかくて固形としてとどまりにくいもの。と食べるものを増やしていき、最終的には通常の食事を目指すというものです。

  • 認知行動療法

    認知行動療法は認知を正しく調整していく治療法です。恐怖症を持つ方は、「○○をしてしまうと嘔吐する=○○をしてはダメ」と自分の中でルールを作り、これが常識として成り立っています。その認知のゆがみを認識し、正常に戻していく治療です。

    例えば、食事をすると吐いてしまうと考えていれば、なぜ吐いてしまうのかを考え、実際に食事をする人は嘔吐するのか、患者の考えと現実で起こっていることを観察・意見しあい、認知をすり合わせていきます。

    根気が必要な治療ですが、さまざまな恐怖症に効果が見られており、改善が期待できます。

  • 薬物療法

    薬物療法とはそのままの意味で、薬を使った治療です。嘔吐恐怖症に使われる薬には、吐き気そのものを抑える薬(ドンペリドン)があります。

    「薬を飲んだから絶対吐かない」という安心感によって生活に余裕が生まれて、食生活にも良い影響があらわれるでしょう。

    もちろん過剰な薬物摂取は望ましい行動ではありませんが、適宜活用する分には問題ないと考えられています。

嘔吐恐怖症も拒食症も治療できる

嘔吐恐怖症も拒食症も根本は違いますが、どちらも「食べない」という選択をしている、治療が必要な方です。

人によっては様々な病院を渡って間違った診断をされた人もいるでしょう。まずは、自分は痩せたくて食べないのか、それとも食べるのが怖くて食べていないのか、自分の気持ちを見直してみると良いでしょう。

もしかすると、拒食症だと思っていたら、嘔吐恐怖症かもしれませんし、その逆も考えられます。

どちらも諦めなければ治る症状です。自分の気持ちを知った上で、専門のクリニックへ相談してみましょう。



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