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結婚や出産が摂食障害の原因になることもある?

結婚や出産が摂食障害の原因になることもある?

多様化する摂食障害の原因。結婚や出産がその理由になることもあるとか…。

近年、女性を取り巻く環境やライフスタイルの変化などにより、摂食障害(過食症過食嘔吐拒食症)に悩む女性の年齢層が拡大しています。摂食障害は、無月経や不妊症などを引き起こすリスクもあります。

妊娠や出産前、将来の結婚・妊娠を望む女性の人生に、大きな影を落としてしまうことも。逆に、結婚や妊娠が摂食障害を引き起こすきっかけになることもありえます。

ダイエット目的だけでなく、摂食障害になる原因は実に多様化しています。結婚や出産後に摂食障害を発症するケースを例に、摂食障害の原因を考えてみましょう。

結婚や出産後に摂食障害になることもある!?

これまで、摂食障害は拒食症患者では10代が、過食症は20代が9割と大多数を占めていました。

ところが摂食障害に悩む患者数の増加に伴い、結婚後や出産後に摂食障害になる女性もいることが指摘されています。

摂食障害患者をめぐる結婚や出産への影響を調査した研究結果があります。

研究では、2008〜2009年に国立国際医療研究センター国府台病院に摂食障害で通院した女性のうち、30〜49歳で摂食障害と診断された患者82人(ED群)の婚姻歴や出産歴などを調査。

婚姻歴も出産歴のある人の割合が、同年代で摂食障害と診断されずに通院している人(nonED群)よりも、低かったことがわかっています。

婚姻歴については ED群はnon ED群に比して有意に未婚の割合 が多かった。〜中略〜 子どもの有無についてはED群はnon ED群に比して有意にこどものいない割合が大きかった.未婚を除いた症例でも同様で,ED群は non ED群に比して有意にこどものいない割合が大きかった.


出典:『遷延化及び遷延化した摂食障害患者の結婚・出産について』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/52/12/52_KJ00008328774/_pdf/-char/ja

この研究では、あくまでも摂食障害患者数の婚姻歴や子供の有無などを調べたのみにとどまっています。そのため、摂食障害がどういった形で婚姻率や出産率に影響を及ぼしているかは断言できません。

しかしながら、成熟拒否や女性性の拒否、性的な関心や異性への興味の低さなど、摂食障害によく見られる精神病理も影響しているのではないかとも考えられます。

また、摂食障害になり、低体重や無月経などが続けば、結婚をしても妊娠できない可能性も大いに考えられます。

結婚前と結婚後では摂食障害になるきっかけも違う

結婚前や10代など、若い年代の女性で摂食障害になるきっかけとしてよく指摘されるのが、ダイエットなどの美容目的です。

「痩せてキレイになりたい」「キレイになるには痩せなければいけない」といった考えに支配され、拒食症になってしまうことが多いのが、これまで摂食障害の中でも拒食症の特徴と考えられてきました。

しかし最近では、摂食障害になる理由は美容目的に限らず、ストレスや家族関係など多岐に渡ると考えられています。

結婚生活のストレスや出産が摂食障害の引き金になることも

結婚や出産と発症の関係については、結婚後時発症群では夫との不仲、別居、夫の浮気、夫が仕事で忙しいなど夫婦の危機や結婚生活での欲求不満がED(摂食障害)発症の契機となりやすいとの報告や、妊娠や出産、子供の結婚や独立などを契機とする報告がある。〜中略〜 家族関係や子育てにおけるさまざまなストレスが重なり、また周囲の支援もうまく受け入れられずに食行動異常が起こっている可能性が考えられた

出典:『遷延化及び遷延化した摂食障害患者の結婚・出産について』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/52/12/52_KJ00008328774/_pdf/-char/ja

また、妊娠後に摂食障害を発症するケースも報告されています。妊娠後に摂食障害になるきっかけは、妊娠に伴う体型変化・食行動の変化などが要因と考えられています。

妊娠で体型がふっくらしてきたことへの恐怖や不安が、摂食障害につながることも大いに考えられるのです。

出産後のやせ願望増大も影響?

出産後の「産後ダイエット」は当事者の大きな関心事です。

よりよく産後ダイエットを実現すること目的として、トレーニングメニューや食事管理の情報が出回っていたするなど、産後ダイエットはマーケットとしても拡大していることが分かります。

しかし、産後の原料は一筋縄ではいかないことも…。場合によっては、極端なダイエット思考が自分をコントロールして、不健康な水準にまでBMIが落ち込むケースもあるようです。

対象群は産後6カ月での体重は60%が妊娠前より低下しており,産後は体重が元の水準まで戻らない者が多かったコントロール群とは 大きな差があった.さらに対象群において,産後6カ月の体重が,ICD?10のANの診断基準を満たすBMI17.5以下の者は5名(17%)も存在した.これらの結果から,摂食障害をもつ女性は,出産後にやせ願望が増大していたと推定された.

出典:摂食障害をもつ女性の結婚、妊娠、出産、育児についてコントロール女性との比較研究(心身医学53巻,2013,7号)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/53/7/53_KJ00008721952/_pdf/-char/ja

強迫観念にも近いような、産後の過度なダイエット思考が自分を摂食障害に追い込むケースもあるので、十分に注意しましょう。

ますます多様化する摂食障害の原因

ここまで見てきたように、摂食障害は過度なダイエットや、病的なまでの痩せたい願望が、大きな要因と考えられてきました。

しかし患者数の増加に伴い、さまざまな原因で摂食障害になる可能性があることがわかってきています。

「もう子供も出産した後なのに摂食障害になるなんておかしいのかな」「若い人がなることが多いなら、摂食障害になった私は変だ」と思い悩む必要は全くありません。

むしろ、摂食障害という病気が社会的に広く認知され問題が表面化してきているからこそ、今まで見えなかった摂食障害に悩む方の存在がわかってきているだけなのです。

摂食障害に悩む女性は10代から40代まで年齢層も幅広く、ライフステージも人それぞれです。

また、女性だけでなく男性でも大いに発症する可能性がある病気です。もしかしたら、まだまだ見えないだけで、摂食障害に人知れず悩む方の数はもっともっと多い可能性すらあります。

摂食障害は身体的な合併症や、自己評価の低下、社会適応能力の低下など、日常生活にも大きく影を落とす病気です。

まずは克服してみようと一歩踏み出すことが大切です。最初は勇気が必要かもしれませんが、摂食障害に悩む方は一人だけではありません。

専門家や家族、パートナーと共に乗り越えられるよう、まずは診察を受けてみてはいかがでしょうか?



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