摂食障害治療・病院 TOP > ブログでは語れなかった「摂食障害完治への道」

治療成功経験者者だから語れる、摂食障害完治への道

9年間に渡り摂食障害に苦しんだ自らの体験記と、その後の生活について語るブログを運営しているブロガーのるみさんが、今まで受けた治療方法やその効果、かかった費用など治療完治までの道のりを語ります。
克服した今だからこそ語れる、あの時の気持ちと現在、摂食障害に悩んでいる方たちに役に立つ完治へのヒントを紹介します。

私は18歳の頃、ダイエットのしすぎで拒食症になり、その後は過食症に移行し約9年間過食症・過食嘔吐に悩まされてきました。

現在日本の摂食障害の患者数は、100人に1人の割合とも言われ、その数は40年前と比べ大きく増加しているそうです。発症の多くは思春期から20代前半であり、年齢層は10代から40代の女性がほとんどを占めます。そのため若い女性では、50人に一人の割合で摂食障害に苦しんでいるとも指摘されています。

摂食障害は難治性疾患(43番)として難病指定され、多くの女性が摂食障害に悩んでいるのですが、いまだに明確な治療法がないとも言われています。

国内での治療方法としては、カウンセリング・入院治療・栄養療法・薬物治療などが主に行われています。 その他、民間の摂食障害治療施設や自助グループなど、摂食障害治療のための様々な取り組みが行われています。
過食症・過食嘔吐は、毎日が本当に辛く、どうしても治したい!と思い、わらにもすがる気持ちで全国各地の様々な病院や施設を渡り歩きました。
この機会をとおして、そんな私の経験を元に摂食障害の治療への道をお話したいと思います。

カウンセリング

カウンセリング

自分も気づいてなかった、しっかりしようとする
長女なんだからしっかりしなくちゃいけない!という強迫観念といい子症候群を発見するきっかけになった治療方法でした。

個人で心理カウンセリング教室を開いている先生を母の友人が紹介してくれ、月2~4回のペースで定期的にカウンセリングに通っていました。
そこでは自分の生い立ちから子供の頃のことをさかのぼって思い出し、自分はどういう子供だったか、どういう性格だったのか、母親との関係の中に摂食障害の原因となることはなかったのか、などを掘り下げていきました。
その結果、私は長女であまり母親に甘えられなく、いつもしっかりしなきゃと思いながら過ごしていたことを思い出しました。
そういう強迫観念みたいな気持ちが、自分の気が付かないうちに精神的なストレスになっていたんだと気が付きました。
そして、学校での成績も良く、「明るく元気でかわいく何でもできる子」と思われたかったので、太った自分を受け入れることができなかった、というのも一つの原因だと気づきました。
自分のことを深く理解することができたので、気持ちが軽くなったと思います。前向きに肯定的に自分を感じるように少しづつなれた気がします。
でも、気分は晴れやかになったのに、過食と過食嘔吐は相変わらず続きました。もしかしたら過食をしてしまうのは、必ずしも心の問題というわけではないと思うようになりました。

通院頻度 基本的に週に1回の心理カウンセリングを受講
1ヶ月にかかる費用 12,000円(1時間3,000円/1回)
薬の処方 なし
治療内容 まずは自分の生い立ちをさかのぼって思い出し、今までに摂食障害となる原因がなかったかをカウンセラーの方と一緒に探しました。
母親との関係、兄弟姉妹との関係、友達との関係、学生時代はどういう過ごし方をしてきたか、など質問を受けました。
最初は表面的な質問から始まり、徐々に深く掘り下げて質問されるようになり、結果的に自分と向き合い自分を改めて知ることができました。

栄養療法

栄養療法

毎日の過食嘔吐の繰り返しや、偏った食生活が、どのように私のカラダに悪影響を及ぼしているのか、詳しい検査で具体的に知るきっかけに!
自分に足りない栄養素をサプリメントで取る治療方法でした。

インターネットで「栄養療法で摂食障害が治る」という情報を見つけ、とても気になり栄養療法を行っているクリニックに行きました。
まず、最初に血液検査を行い、そのデータを元に自分に足りない栄養素のサプリメントを摂取し、食事も炭水化物をできるだけ制限し、タンパク質を多く摂る、という治療方法でした。
そのサプリメントは基本的に毎日2回分の処方があり、1回分が片手におさまりきらないほどいっぱいで、最初はとても大変でした。でも、毎日飲んでいるとだんだん慣れ、大量のサプリメントも平気で飲めるようにはなりました。
でも心療内科や精神科で処方された薬とは違って気持ちが悪い感じや副作用みたいな症状もなく、栄養が十分にカラダに染み渡っているような感じがして、元気が出るようになりました。
とくに、私の場合は過食に加え嘔吐を毎晩していたので、夕食の過食後に吐き終わってから、寝る前にサプリメントを飲まなくてはなりませんでした。休日は朝から過食と嘔吐をしていたので最初はサプリメントを飲むことができなかったりで、3か月分の処方を4か月半で飲み切りました。でも、毎日飲んでいるとだんだん慣れ、大量のサプリメントも平気で飲めるようにはなりました。
栄養療法は過食嘔吐がひどい時にはサプリメントを飲むのに工夫が要りますが、飲み始めてから2か月くらいから昔のような「満腹感」が戻ってくるのが実感できたのが嬉しかったです。

通院頻度 1か月に1回程度
1ヶ月にかかる費用 80,000円 (3ヶ月 250,000円程度)
処方された薬 サプリメント、漢方薬
行った検査 血液検査で自分に足りない栄養素を調べてもらいました。
入院期間中の
過ごし方
栄養療法だけでなく、食事指導も定期的に受けました。専門の管理栄養士が、マンツーマンで指導してくれます。
自分に足りない栄養素のビタミンB・C・ヘム鉄・カルシウムなどのサプリメントを処方されました。

入院治療 1

入院治療 1

外出などの出入り自由で買い物も自由。
隠れて過食が続き...入院の意味がなく、治療とも言えない状況の入院治療でした。

最初は、地元の精神科での入院治療を試みました。
この病院では入院中は規則正しい生活を送れるよう、朝・昼・晩の食事をしっかり摂ることと、そんなにたくさんではありませんでしたが投薬治療もありました。
その他には特にカリキュラムはなく、ただ過食を止めるために入院したという感じでした。ですが、出入りも売店での買い物も自由にできたので、隠れて過食や過食嘔吐をしてしまい、全く意味が無くすぐに退院してしまいました。

入院期間 約2ヶ月間
1ヶ月にかかる費用 約12,000円~150,000円
(入院治療費+食事療養費)
入院部屋 2人部屋でした。
相部屋の患者さんは摂食障害の患者さんではありませんでした。
処方された薬 ルボックス
食事 朝・昼・晩と3食、他の入院患者さんとまったく同じものを食べる。主食・主菜・副菜など一般的な病院食のメニューでした。
行った検査 血液検査
治療内容 特に何もせず、本を読んだりベッドの上で過ごしました。毎日暇で仕方がありませんでした。
臨床心理士の方がたまに来てくれて話を聞いてくれました。ですが、カウンセリングではなく、あくまでも話をしてくれるだけ、といった感じでした。

入院治療 2

入院治療 2

「入院治療1」とは違って外出禁止、お金の持ち込みの禁止など制限された環境での治療でしたが、我慢できず早く退院へ...

閉鎖病棟のある、いわゆる「精神科」にも入院治療をしたことがあります。
この病院では、食べ物やお金の持ち込みは禁止で、外出もできないので、入院中は過食することはできない状態でした。日中は他の入院患者さんとおしゃべりをしたり、絵を描いたり本を読んだりと、のんびり過ごしていました。この時も少しだけ服薬もしていました。
しかし、任意入院という形式で入院したので、自分が退院したい、と言えばいつでも退院できる状況でした。そのため、病院の食事だけでは我慢できず、どうしても過食したい気持ちを抑えることもできませんでした。過食の衝動を抑えきれず、結局すぐに退院して、家に帰ると過食嘔吐をしてしまいました。

入院期間 約1ヶ月間
1ヶ月にかかる費用 約12,000円~150,000円
(入院治療費+食事療養費)
入院部屋 4人部屋でした。
処方された薬 最初はルボックスを服用していましたが、途中で薬は飲みたくないと医師に伝えたため、薬は無しになりました。
食事 朝・昼・晩と一般的な病院食のメニューでした。
摂食障害の患者ということで、食べ終わった後看護師さんにどのぐらい食べたかチェックしてもらいました。
行った検査 特にありません。
入院期間中の
過ごし方
他の入院患者さんとお話をしたり、絵を描いたりしました。もう少し入院が長くなると書道やカラオケの時間があったり、看護師さんと外に散歩にも行けるようになったようなのですが、私は入院期間が短かったため、そこまではできませんでした。
臨床心理士の方が話を聞きに来てくれましたが、カウンセリングではなくただ話をしに来てくれただけといった感じでした。

摂食障害専門の治療施設

摂食障害専門の治療施設

摂食障害に悩む人たちと一緒に過ごしながら治療する合宿形の治療施設。
山奥の自然の中での生活が合うかどうか、都会育ちの私には心配でしたが、結構楽しめたことと、合宿中は不思議と過食症状をコントロールすることができました。

私が入った摂食障害専門の治療施設は大自然の山奥にあり、摂食障害の患者さん30人ぐらいと一緒に暮らし、朝・昼・晩の食事を共にし、朝は日の出には起床し夜は9時には寝るというような規則正しい生活でした。
日中の過ごし方は畑仕事や、大工作業、運動、楽器演奏など、体を使うものばかりで、毎日へとへとでした。入所期間が長い人は、3食の食事をしっかり食べて、みんな生き生きとしていました。山奥なので周りにはコンビニもないので、過食をしたくてもできない環境が良かったです。毎日体を動かすので、疲れて夜になると自然に眠くなります。
集団生活は私にとってはたいへんな事もありましたが、過食嘔吐の苦しみを分かち合える友達もでき、2か月間の合宿中は過食の症状はコントロールできていたので、私もずっとこれで治るのかな?と期待しました。
でも、2か月間の合宿が終わり、家に帰ると、すぐに過食嘔吐が復活してしまいました。

期間 2か月間
1ヶ月にかかる費用 150,000円程度
処方された薬 薬はありませんでした。
行った検査 ありませんでした。
面談内容 入所する時に面談があり、また入所してからも定期的に担当のカウンセラーと面談することがありました。
入所前には、入所中の生活の過ごし方の説明や、過食嘔吐の状況などを詳しく聞かれました。入所してからの面談は、過食についてというよりは、好きな事や興味のあることを中心にいろいろな質問をされました。

そして現在…

他にもダイエット合宿や、断食道場、引きこもり支援施設など、「痩せたい、過食を止めたい」という気持ちを叶えてくれそうな施設を探し回り、全国どこでも行き、入所してみたものの、一時的に過食はストップするのですが、帰ってきたらすぐに過食や過食嘔吐の症状は戻り、まったく意味がありませんでした。

そしてその時気づいたのが、

私は誰かに治して欲しいと、他の人に助けてもらおうとばかりしている。
もっと自分で治そうと努力しなければ治らない!

ということでした。

また、自我が育っていなく、いつも自己否定ばかりしてしまうことにも原因があったんだと気づくことができました。

それから主人と出会い、結婚、出産を経験しましたが、その間も過食はなかなかやめられませんでした。でも、主人や子供から愛情を沢山もらい、もう体型ばかり気にせず今を楽しもう、と思えるようになりました。
もちろん過食はすぐには無くならず、しばらくやめられていたのにまた再発してしまった…と落ち込んだ日もありました。そういう日でも、今日はどうして過食してしまったのか、次からどういうことに気を付ければよいのか?と、反省と次に生かせる対策を考え、過食をやめようと自分なりに努力してきました。
また、本当に辛い時には主人に頼ったり泣き言を言ったりもしました。
でも主人はそのすべてを受け止めてくれ、理解してくれ、また明日からがんばろう!という気にさせてくれました。
こうしているうちに、気が付いたら1ヶ月過食していなかった!という日が来て、摂食障害は治るんだ!と確信しました。

最後に…

ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。

私の摂食障害は9年間続き、そのあいだ病院を変えたり治療法を変えたりと、忙しい治療生活でした。とても長い苦しみだったのですが、9年はまだ短いほうです。摂食障害の治療には基本10年はかかると言われています。あの苦しい期間が10年、20年と続くのは身体的にも金銭的にも本当に大変です。

同じように摂食障害で苦しんでいる人に、安心してご飯を食べれる日が来ることを願っていますし、私の体験談が何かしらの役に立てば幸いです。

ただ、摂食障害にはいろんな治療法があり、どの治療法があうかどうかも人それぞれです。治したいと考えている人は、治療法を知り、自分にあいそうなものを検討することをおすすめします。

著者プロフィール

著者

るみ

9年間摂食障害に苦しみ続けてきたが、克服し元気で生活しているブロガー。
現在、専業主婦で2人の子供を育てながら、自分が摂食障害を克服するきっかけとなった方法や闘病体験談、治った後の生活についてブログで語っている。

るみさんのブログURL: http://sesshoku-shougai.com/

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