摂食障害の方は熱中症に要注意!
暑さによる体液の不足が引き起こす熱中症。摂食障害で体が低栄養や脱水状態に陥っていると、健康な方よりも熱中症のリスクが高まってしまいます。
熱中症になるメカニズムや、どうして摂食障害の方が熱中症になりやすいのかを紐解いていきましょう。
そもそも熱中症はどうして起こる?
暑さが厳しい季節になると、毎年と言っていいほどニュースなどで取り上げられる熱中症。熱中症を引き起こす要因は、暑さ(環境)に加えて脱水症状や低栄養などの体の状態、水分補給できない状況などの行動が関連しています。体温が上昇しても、それを調節する機能のバランスが取れていなければ熱中症になりやすくなってしまいます。
熱中症は老若男女誰でもかかりうる病気です。2012年には救急医療施設を受診した熱中症患者の平均年齢は男女ともに40代。死亡例も熱中症を原因とした方だけで28例も報告されています。熱中症により高次脳機能障害などの後遺症が残る場合もありますから、たかが熱中症と侮ってはいけません。[1][2]
摂食障害の方が熱中症になりやすい理由
では、摂食障害だと熱中症になりやすいと言われるのは、一体どうしてでしょうか?
例えば拒食症の場合、身体症状として食事や水分を摂らないことによる脱水や電解質(K、Na)異常、低栄養などが生じます。また、電解質(K、Na)異常はむちゃ食いと嘔吐などの排泄を繰り返す過食嘔吐の方にも特徴的な身体症状です。
熱中症の予防にはこまめな水分補給が必要ですが、そもそも摂食障害で体に水分が足りない状態になってしまえば熱中症になりやすくなってしまいます。
また、ただ単に水分を補給すればいいわけではなく、ナトリウムやカリウムなどのミネラル分のバランスも大切です。ミネラル分は電解質とも呼ばれるもので、体液に含まれている大切な成分です。水分不足な状態に体がなってしまうのに加えて、電解質が不足すれば体液の浸透圧(電解質濃度が濃い部分を薄める/薄い部分を濃くする)機能が失われ、体に痺れや脱力などの症状が起こるようになります。
嘔吐のように体液を一気に体から排出してしまえば、水分はもちろんですが電解質も少なくなり、脱水症状になります。体が脱水症状になれば、汗の蒸発で体温を調節する体の機能がうまく働かなくなり、熱中症になってしまうのです。
摂食障害の方が熱中症を予防するには?
摂食障害により脱水や低栄養状態に体がなってしまっている場合には、「自分は熱中症になりやすい」と意識して、こまめに水分補給をするようにしましょう。また、食べることが怖い場合でも、フルーツなどミネラル分を多く含むものを意識して食べるようにしましょう。
このほかにも、こまめに体をクールダウンさせてあげること。日頃から少しずつ体を動かす時間を増やして体力作りに努めることなどが熱中症対策としてあげられます。
暑い夏、汗をかけば痩せる!と無理してエアコンを使わずに過ごすのも、熱中症を引き起こすことになりかねません。ぜひ、無理せず、こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。