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治療に向かう心と身体を支える、薬物療法

治療に向かう心と身体を支える、薬物療法

心と身体に苦痛を抱えていては、
摂食障害の治療に立ち向かえません。

心因性の摂食障害を緩和するために、抗うつ剤や精神安定剤が処方されるのは良く知られている治療法ですが、その他、摂食障害を発症していることによる身体的な苦痛を軽減するための薬や、体調不良を改善するホルモン剤なども処方されます。

また、最近では、摂食障害による栄養不良を改善し、過食と嘔吐の悪循環を断ち切るために、ビタミン剤なども処方されています。

心を支える薬物療法

摂食障害は、精神的な問題を原因として発症することが多いと言われています。そこで摂食障害の治療では、精神症状に効果のある薬が処方されることがあります。

このような症状は、専門のカウンセラーや精神科医がカウンセリングの中で診断します。摂食障害そのものを治療する効果はありませんが、お薬を処方することによって患者さんのもつ精神的な症状を和らげる手助けをするのです。

例えば、過食症の患者さんの場合、うつのような症状やイライラとして落ち着かないといった状態がみられることがあります。そのような場合は、抗うつ剤や精神安定剤などが処方されます。

抗うつ剤

現在、過食症への効果が認められている抗うつ薬はデシプラミン・イミプラミン・フェネルジン・SSRIの4種類です。

デシプラミン、イミプラミン

1950年ごろから使用され始めた三環系抗うつ薬の1つで、抗うつ剤としては初期のものです。余ったセロトニンとノルアドレナリンという神経伝達物質がもとの神経細胞に取り込まれるのを阻害することで、うつ病や意欲改善などに効果を発揮します。効果が強く出る一方で、副作用も強く出る薬です。

フェネルジン

セロトニンやドーパミンなどの働きを調整するモノアミン酸化酵素の働きを阻害することで、神経伝達物質であるモノアミンを増加させるMAO阻害薬の1つです。他の抗うつ薬と同等の効果を発揮します。しかし、副作用や併用できない薬剤が多く、血圧上昇や脳卒中を発症するなど制限も多いため、現在日本では使用されていません。ヨーロッパでは、これらの問題点を改善した薬が導入されています。

SSRI

抗うつ剤として最も使用されています。うつを抑制する効果がありながら副作用が少なく、安全性の高い薬です。「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」とも呼ばれており、脳にセロトニンを増やすことでうつ病はもちろん、摂食障害や不安障害の症状を改善する薬として使われています。

精神安定剤

精神安定剤は、神経が高ぶって感情的になる、イライラして落ち着かない、などの症状を和らげ、リラックスさせます。

※副作用…眠気、無気力、だるさ、手の震えや舌のもつれ、筋肉の硬直など

抗不安薬

抗不安薬はイライラしたり、緊張して冷や汗がでる、といった不安からくる症状を和らげる効果があります。筋肉のコリをほぐしゆったりとリラックスさせてくれる効果もあります。他の薬と比較すると早く効果が現れるとされています。

これらの薬は、食欲を抑える効果もありますので、過食症状も抑制することが期待できます。

精神安定剤や抗うつ剤と聞くと、飲むのをやめることができなくなるのではないか、依存性があるのではないか、と不安に思う人もいるようですが、医師がきちんと管理して適切に処方しますので、指示通りに服用すればまったく問題ありません。

身体を支える薬物療法

摂食障害が進行すると、身体にもいろいろな障害が現れてきます。そこで、身体にみられる症状に対して薬が処方されることがあります。

胃腸薬

胃腸薬は、嘔吐が酷い患者さんに処方されます。嘔吐を繰り返すことによって、胃の粘膜がただれるなどの炎症が見られ、そこからくる不快な症状を緩和するために使用します。

ホルモン剤

ホルモン剤は、拒食による痩せすぎで生理が止まってしまった女性に処方されます。3年以上生理が止まっているような深刻なケースでは、ホルモン補充療法を受けることもあります。

カリウム剤

カリウム剤は、拒食症や極度の偏食が進み、低カリウム血症を発症した場合に処方されます。

ビタミン剤

ビタミン剤は、拒食症などによって栄養欠損が起こっている場合に、栄養を補う目的で処方されます。

各種のサプリメント

拒食症や過食症が進行すると、低血糖や栄養欠損が起こり、それが原因でさらに症状が深刻化することがわかっています。このような場合は、栄養療法により症状の改善を図ります。
最近では、栄養療法の専門病院もできており、注目されています。
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胃排出能改善薬

胃排出能改善薬として主に処方されるのは、六君子湯・クエン酸モサプリド・人参湯・四君子湯の4種類。吐き気や嘔吐、胃の不快感を軽減してくれる薬です。食べた物を胃から腸へ送り出す働きを促してくれます。

カルシウム製剤

主に骨粗しょう症の方に処方される薬です。過食症による栄養不良が長引くと骨粗しょう症になることがあるため、骨粗しょう症の予防や改善のために処方されます。

漢方

防風通聖散・大柴胡湯・抑肝散・柴胡加竜骨牡蛎湯・加味逍遥散などが処方されます。ストレスからくる摂食障害には神経の高ぶりを抑えてくれる抑肝散や柴胡加竜骨牡蛎湯がおすすめです。女性ホルモンなどの影響で過食してしまう方は加味逍遥散が最適。生理前のイライラ感なども軽減してくれます。体に脂肪がつきやすい方は防風通聖散・大柴胡湯が有効です。

有効な薬物療法は?

過食症には?

神経性過食症には、現状の軽減を目的としたSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが有効とされています。
このSSRIは抗うつ薬の一種で、不安の症状を改善させる効果を持ち、過食の軽減傾向が見られ、一定の効果があるそうです。ですが、寛解(かんかい:病状が治まること)までには至らないため、過食症完治を目的としたSSRI投与の継続に頼らないことが賢明とされています。


拒食症には?

神経性やせ症(拒食症)には特効薬はありません。
体重増加を助ける目的で非定型抗精神病薬(オランザピンなど)を用いて、肥満恐怖を軽減させたり、食事を摂ることで起こる上腹部の不快感や胃もたれを、胃排出能改善薬(クエン酸モサプリド、ドンペリドン、六君子湯、人参湯など)を用いて軽減することもあるそうです。


まとめ

神経性過食症や神経性やせ症(拒食症)のいずれの摂食障害に対しても、多少の効果を見込む薬剤はありますが、これを摂取すれば完治するといった内容の薬剤はありません。
抱える症状や病状の段階を医師に判断してもらいながら、その時に応じて適切な薬剤の処方をしてもらい、徐々に症状を緩和させ、完治への道程を辿ることが一番の近道なのかもしれません。


参考:みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_eat.html


参考:摂食障害情報ポータルサイト(摂食障害全国基幹センター)
http://www.edportal.jp/pro/treatment.html#a02


自身に適切な治療方法を確認するなら...

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