摂食障害に深く関係している母親の存在
母親は摂食障害の回復を
手助けできる存在です
身近な方との関わりがきっかけになり、摂食障害になることがあります。特によく言われているのが、母親にかまってほしいという願望から摂食障害になってしまう方です。ここでは、母親と摂食障害の関係についてまとめています。母親は摂食障害のきっかけにもなり得ますが、それ以上に回復のためのサポーターとして重要な存在です。摂食障害に悩んでいる方との接し方を考え、治療していきましょう。
母親と摂食障害の関係性
摂食障害においてよく話題にあがるのが、母親の存在。摂食障害で悩んでいる方の中には母親からの関心を集めたい、両親の不仲を解消したいなどの考えから、無意識に拒食・過食を始めてしまうそうです。こういった場合、関係性を変えることで摂食障害が回復することもあります。摂食障害のお子様を持つ場合、本人との関係を見直してみましょう。
母親にかまってほしくて
摂食障害になる理由の一つに、幼少期に思うような愛情を得られなかったことが挙げられます。「関心を自分に集めたい」という思いから、拒食や過食をしてしまうのだそう。これが原因で摂食障害になった方は、小さい頃から「親に負担をかけないようにしよう」といい子にしてきた方です。「母親が好きだから嫌われたくない」という気持ちがきっかけになり、「ありのままの自分では愛されない」と思い込んでしまうことに。だんだん「関心を持ってもらいたい」「甘えたい」などの願望が無意識に溜まっていき、摂食障害に陥ります。痩せたり太ったりして母親に注目してもらおうと自分を追いつめてしまうのです。
ほかにも幼少期に「完璧でなければ愛されない」と思い込んだ方が、挫折をきっかけに発症することもあります。こちらは葛藤の多い思春期に本当の自分と「いい子」の自分の差が大きくなっていき、耐えきれなくなったときに発症するようです。高すぎる理想とのギャップが原因で摂食障害を発症する方の90%は女性。体形を気にされる方が多いことも関係しているようです。
男性の方は女性ほど体形にこだわりがないためか、摂食障害よりも気分障害や非行といった別の症状が出やすくなっています。
大人になりたくないから
関心を引きたいという理由以外に、「大人(母親)のようになりたくない」といった恐怖心から摂食障害に陥ることもあります。昔から両親や他の大人との関係が良くなかったり、苦労している姿を間近で見てきていたりすると、「母親のようになるのは嫌だ」「苦労するのは嫌だ」と否定する気持ちが大きくなるようです。身体が成長して大人に近づくにつれ、女性らしい丸みをなくすためにダイエットをしたり、大きくなりたくないという思いから食事を捨てたりするようになります。成長したくないと嘔吐を繰り返す症状を発症する方もいるようです。
両親の不仲を解消するために
夫婦仲が良くない場合、両親に仲良くしてほしいという思いから、食事を摂らなくなったり食べすぎたりする方もいます。自分の摂食障害をきっかけに両親が協力するのでは…といった期待から拒食が加速したり、ギスギスした両親の様子にストレスを受け、ストレス発散のために過食衝動が起こるといったイメージです。
例え、摂食障害を改善するために両親が協力し合うようになったとしても、「不安になる=拒食」「ストレス発散=過食」といった行動パターンが染みついてしまうと、対策は異なってきます。夫婦の不仲は、あくまできっかけの一つになる可能性があるだけで、「夫婦の仲が良くなれば治る」といった単純な問題ではありません。お互いを責める必要も、形だけ仲良くする必要もなく、解決策は他にあります。
母親の存在
母親の存在は子どもにとって非常に大きなものです。性格を形成する幼少期から最も愛情を注いでいるのは母親だといえるでしょう。保護してくれる、愛してくれる存在であり、安心できるところ。無意識に甘えられる存在として刷り込まれているのが「母親」です。母親からの愛情を受け取りたい、関心を持ってもらいたいというメッセージが摂食障害という形で現れます。
ただ、それが必ずしも影響しているとは限りません。生まれ持った性格・身体・環境など、色んな要素が複雑に組み合わさって、摂食障害に繋がります。もし子どもが摂食障害になってしまった場合、「どうしよう」と1人で悩むことはありません。自分を責める必要もありません。本人と話しあって、周りや専門家の助けを借りて治療のサポートをしてあげるようにしましょう。
関係の見直し
子どもが摂食障害になった場合に家族が原因とは断定できませんが、これをきっかけに子どもとの関係を見直してみても良いでしょう。普段自分がどう接しているか、それが子どもにとってストレスになっていないかを話し合ってみてください。小さい頃からあまりかまっていなかったり、逆に過保護だったりしないかをきちんと振り返るきっかけと思ってみましょう。もともとかまってあげれていない子なら「もっと関心を持ってほしい」と無意識に考えているかもしれません。前向きな言葉でコミュニケーションをとるのがおすすめです。干渉しすぎていて「母親のようになりたくない」と考えている子なら、普段より距離をとり、干渉しすぎないようにしてください。褒める回数を増やしてみるのも手です。関係を見直すことで摂食障害の症状が改善されることもあるので、子どもとの接し方を変えて症状を改善できるようにしていきましょう。
現在の摂食障害の治療方法
摂食障害の治療には、子どもとの関係の見直しや精神を安定させるためのカウンセリングなどのサポートがあります。しかし、関係を改善しても、症状が改善しない場合もあります。摂食障害という症状一つにしても、対人関係が肝だったり、栄養状態が肝だったりと、人によってとるべき対策が異なるためです。摂食障害専門の病院によっても扱う治療法はさまざまなので、お子様にあった対処法・病院を見つけることをおすすめします。